2012年12月09日

ジーザス・クライスト=スーパースター in 自由劇場(20121208マチネ)

先月エルサレム・バージョンを観ましたが、ジャポネスク・バージョンは初見でした。

しかしまあ、ずいぶんと演出を変えたなあ~というのが最初の印象ですね!

大八車ですかね、あの使い方の演出は、実にクリエイティブといって良いかと。
黒子ならぬ、白子(?)が人力で裏方を支えつつ、視界には入るんだけど、見えていないものとする日本の伝統劇のお約束を持ち込んでいるんですね。

以前、観たギリシア古典劇も舞台上で枠があり、そこを出るとさっきまで演技していた役者が素に戻って淡々と普通に座って出番を待つ、そういったお約束を彷彿とさせます。

あと全体がとにかく『白』なんですね。
衣装として群集が着ている服も舞台上の色彩も『白』がベースになっており、白いジーパンみたいなのもへえ~っと思いました。

顔の隈取り(?)ですかね、歌舞伎調のメイクも本当にやってるんだ。
最初は物凄く違和感があるのですが、慣れていくと、普通に見えてきます。キャッツの猫達みたいなもん?
でも・・・メイクで表情による感情表現が相当限定されている感じではありました。
表情って、多くを語るものですが、それが無いといういうのは一種の制約であることを改めて感じました。

それもあるのかな?
山の斜面という舞台設定と異なり、大八車の演出自体は大変面白かったし、良く考えられていて非常に効果的でもあった反面、いささか役者さんが演じるスペース的には狭くなった感じで、躍動感はかなり抑えられて幹事でした。メイクとの相乗効果か、その辺は強く感じました。

もっとも、舞台の花道ではないが、大八車を縦横に並べて奥行きのある道(橋?)を作り、そこを実に効果的に舞台として使いこなしていたように思いました。京都の八橋みたいな、橋の重なった感じもありました。

照明もそれにあわせてましたねぇ~。

音楽も心理描写を効果的にさせるべき、拍子木等の効果音を本来の音楽に追加したり、微妙にアレンジしているようでした。

まあ、ヘロデ王の演出は、いささか過剰感が出過ぎて、かなり微妙に思いましたね。
人力車&花魁というのでも、エルサレム・バージョンの華やかさには物足りず、悪い意味で日本的であることを強調しようとして、演出の制約に繋がっているような・・・・?
(実際はどうか分かりませんけど???)

そうそう、今回、ジャパネスク・バージョンで微妙に音楽のテンポとかも変えているのかな?
日本語としての台詞は、エルサレム・バージョンよりも聞き取り易かったです。
個人的には、ユダの台詞も明瞭で、ロック調でも違和感はあまりありませんでした。

ジーザス、ユダやカヤパ王、ピラト、ヘロデ王と私的には、今回どれも良かったです!
ただねぇ~、マリアが酷かった感じがします。

発声がくぐもった感じで、音程というかいろいろとぶれてません?
声の調子が悪かったのかもしれませんが、ベテランにして、あれはないんじゃないかと・・・。

こないだ読んだアルプでは、マリアの演出は感情表現を抑えて出し過ぎない様にしているとありましたが、それとは本質的に異なり、なんだあれって?思いました。

最後のカーテン・コールでもマリアの時は拍手しませんでしたもん。私。
特にソロ・パートでは一気にテンション下がりました。あ~あ。

それはそれとして、ユダが地獄に引きずりこまれていく演出。
エルサレム・バージョンでは穴に吸い込まれていったと思いましたが、こちらでは大八車の高みから、下(裏)へ落ちていく演出なんですね。だいぶ印象が変わりました。

エルサレム・バージョンを観たうえで、それを念頭に置きながら、ジャポネスク・バージョンとの演出の差異を見出しつつ、その舞台効果等を考えながら、観るのが面白いかもしれませんね。

そうそう、神の神殿で商売している連中を追い出す場面。
浮かれてウィンドウ・ショッピングよろしくひやかしている人々で、傘を持った女性がいたけど、あれが非常に印象的でした。細かい舞台小道具ですが、あれを開いたり、閉じたり、場面の構図的にもいい演出だったと思います。獅子舞みたいなのを被った人もいましたけどね。

ジーザスが貼り付けになる時、柵越しに見られる民衆の顔の表情が、エルサレム・バージョンの時とずいぶん違っているように感じました。勿論、メイクの影響が多大でしょうが、それを踏まえてあえて、表情も変えてますよね、たぶん?

是非、ロンドンに行った時にでもオリジナルのJSCを観てみたいなあ~と強く思いました。

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posted by alice-room at 20:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 【芸術】 | 更新情報をチェックする
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