
あくまでもお祈りの対象としてのシャルトル大聖堂を写真と平易(というよりも『幼稚』な感じさえする)な言葉で紹介したもの。

写真は綺麗だけど、かんでふくめるような語り口調にはだいぶ違和感を覚える。大衆に説明する司教さん、といった感じがしてしまうのは私だけでしょうか? 絵本を前に先生が生徒に教える感じです。

実際、ここで説明されている内容はほとんどの場合、なんの役にも立たない。その一方でシャルトル小史の中には、他の本で聞いたことがない話があったりもする。例えば、以下の話とか・・・。
「ローマ総督がキリスト教徒に弾圧を加えて、ここにできた最初の聖堂を破壊したんだそうです。そのとき、ローマ総督は父を諌めようとした愛娘モデスタの喉を裂いて多くの殉教者の死体と共に井戸の中に投げ込んだので、その井戸は後世<聖なる井戸>と呼ばれたということです。」

他にも知らなかった話があり、そういう意味では文章も全て無価値とは言えません。また、本書は写真が非常に多くて綺麗なカラーで写されているのでそういう意味でも手元に置いておいて悪くない本だと思います。

文章だけなんとかなるともっと良いのですが・・・そこが残念です。でもステンドグラスの写真とかは、なかなかだと思います。

【目次】祈りの大聖堂シャルトル(amazonリンク)
大聖堂へ
シャルトル小史
勝利の聖母
正面に立って―誰の像か
南口に立って―義の司祭メルキセデク
天国と地獄
キリストの体
北口に立って―聖母戴冠
黒い聖母
巡礼について
時代を超えた慰め
黙示録とステンドグラス
シャルトルの青
旧約の人物像―特にダビデ
民衆とガラス職人
大聖堂見取図
“シャルトルの丘にそよぐ風の中で”
関連ブログ
「Stained glass(ステンドグラス)」黒江 光彦 朝倉書店
「ロマネスクの美術」馬杉 宗夫 八坂書房
「シャルトル大聖堂」馬杉 宗夫 八坂書房
「ステンドグラスの絵解き」志田政人 日貿出版社