2007年01月10日

「脳を鍛える―東大講義「人間の現在」」立花 隆 新潮社

毎度のことながら、個人的には合わない感じがするわりに何故か気になる立花氏の本です。

東大で行った講義をベースにして大幅に改編し、かなり再構成されたうえで一冊にまとめた本とのことです(著者の説明による)。

本書で説かれていることは、人類の『知(or智か)』というものは、文系・理系というものを統合した均衡のとれた総合知として身に付けて初めて世界のスタートラインに立てる事ではないかと思う。それなくしては、真に現在の世界を理解することなどできず、理解ができなければ更にそれを伸ばし、発展させていくことなど論外であることを訴えている。(と私は思う)

本書を読むまで私は、自分がそんなにも物を知らないとは思わないでいた。高校時代に一応、物理・生物・化学・地学はやっていたし、数学も好きで理系の人間よりもできていたし、大学院では数学がメインだったような気さえしていた。(学部の卒論は法律学で、修士は数理経済学だったのが・・・)

でも、私の科学知識もどきって、改めて現代科学の水準から言うと、非常に低いことが分かって愕然とした。私って自分の無知さえも知らないほど、レベルが低いとは思っていなかったのでかなりショックを受けている。

就職してからも仕事はデータベースの分析とか、簡単なプログラムを組んだり、システムやデータベースの構築にかかわったり、一見すると理系もどきの仕事だと思っていたのも全然違うんですね。うっ、うっ、己の浅はかさを痛感させられる一冊です。

正直に言おう、後半の理系に関する記述の部分ほとんど意味わかんない。漠然と概念的なものがうっすらと分かる程度。マジ、屈辱かもしれん。これまでも興味の無い分野は知らなくていいし、時間の無駄とやってこなかったのは間違っているとは思わない。でもね、分子生物学に関しては十分に興味があり、大学の専攻をそちらにして理転するかと受験時代にマジ考えたことあるのに、その辺の本をほとんど読んでないのは、やっぱり無意識に逃げてきたような気がする。

「ニュートン」とかの雑誌を読んだり、NHKスペシャルの「人体の小宇宙」シリーズを喜んでみたりするくせに、自分でお金を出して関連本を買わない私は間違いでしょう。本書を読むと、そういう自分の欠けているものを嫌でも痛感します。氏の主張には、細部に同意できない部分があり、首肯するのにはどうしてもひっかかるものがあるんですが、それ以上にやっぱり、衝撃を受けるところ大です!

知っているうえで、こんなものはいらない。自分には不要だという価値判断は個人にかかわるものであり、当然OKですが、理解できないから否定するのは、単に無能さをさらけ出すことでしかないでしょう。

勿論、努力しても駄目な場合もあり、それはそれで自分の限界として受け入れればいいだけのことですが、努力もしない奴は論外。そういう人にだけはなりたくないので、改めて勉強しなければいけないことを気付かせてくれた本です。

私的に決して面白い本ではないし、理解できない内容も多い本でしたが、自分の無知を自覚し、絶対に衝撃を受ける本だと思います。悔しいけど、基本的な科学的基礎知識を勉強しなおそうと思いました。

将来に目指すもののある人、いろんな意味で最前線で世界を動かしていきたい人などなど、飛ばし読みしときましょう。決して損はないです。分からない世界ですが、絶対に面白そうな感じがするし、やればある程度分かる感じが根拠はないけどあるしね。大概の場合と一緒。やれると思ってやれば、たいていの場合、やれるもんですし。

本書を読み、刺激をうけ、行動し、学び、自分の『世界』を広げましょう♪ くだらない「脳トレ」本やゲームなど捨てて、もっと&もっとやるべきことがあることを気付かせてくれる本でした。で・も・ね。本書は本書で、偏りがあることも気付きつつ読むこと。気付く人は気付きます、たぶん。
【目次】
第1回 環境、私、宇宙
第2回 大学は知の拡大再生産過程の最前線
第3回 アインシュタインの脳を分析したら
第4回 授業はサボるためにある
第5回 学生時代のノートから
第6回 辞典をまるごと読んでみる
第7回 このままじゃ、日本の「知」はダメになる
第8回 世界はすべてエネルギーの流れ
第9回 時間と空間の観念を覆したスーパー理論
第10回 世界の見方がすっかり変った
第11回 対称性とはどういうものか
第12回 百科事典に載る家系
脳を鍛える―東大講義「人間の現在」(amazonリンク)

関連本
「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」立花 隆 文藝春秋
「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋


ラベル:書評
posted by alice-room at 00:40| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
管理人さんのような方がいて、『世界史』を勉強しても意味がないので飛ばしちゃおう、という“教師”が
いる。
なんかため息でます。
『知』とは誰のための何なんでしょうねえ・・・・
Posted by OZ at 2007年01月10日 07:11
OZさん、こんばんは。世の中って知れば知るほど面白いし、自分の感じる(認識する)『世界』も広がりますよね。この本を読んで、自分も知った気になっていただけである事を痛感しました。
私なんて正直まだまだですが、少なくとも受験に必要ないから勉強しないなんてことだけは、しなくて良かったと思っています。

後で自分で勉強しようと思えば、確かにいつでもできるでしょうが、若い時に少しでも幅広い知識があるとその後の知識の吸収度合いが違うかもしれません。「知」は世界を知る貴重なチャンスのきっかけかもしれないですね。本当にそう感じます。
Posted by alice-room at 2007年01月11日 21:57
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