
筒井康隆氏原作で友人が原作を読み、結構面白いと聞いていたのと公式サイトでBGMに流れていた曲が耳に残り、DVDではなく映画館でこの音を聞いてみたいと思い、見てきました。
結論、映画館で見て正解。5.1chのオーディオ環境では、確実に映画館に負けます。この映画の音楽を映像と一緒に聞くだけでも映画代の値打ちあるかも?
粗筋は、近未来かな? 人の夢に入ることができる最先端医療器具「DCミニ」。未だ公にはなっていないテスト段階のものだが、これを使ってサイコセラピーを行う仮想の存在『パプリカ』がタイトルネームになっている。夢の世界で繰り広げられる奇々怪々な出来事。夢で感じた事が現実世界にフィードバックされていたのだが、とある事件が起き、いつしか夢と現実世界の境界が崩れていく・・・。
こう書くと、安易に過ぎるかもしれませんが、原作はもっと&もっと複雑で面白いそうです。映画では映像化が主眼にある為、夢の世界の描写に力点があるようです。
さて、映画の感想はというと・・・ごめん。イノセンス見る前なら、評価はもう少し良かったかもしれない。決して悪くはないんだけど、映像面やストーリーから言うと、完全に想定内のレベル。サイバーパンクの仮想空間と夢の世界ではどちらもバーチャルであってそれらのジャンルでは既にパターンになっている映像に思えてしまった。純粋に映像美だけでもイノセンスに完全に負けている、と思う。
そして夢の世界、というならば「ビューティフル・ドリーマー」のあのニアリーイコール的な現実からの逃避や空間感覚の秀逸さに及ばないだろう。主人公のパプリカ自体については、ほとんど作品中では語られるところがなかった為、最初から最後まで謎であり、エンディングがハッピーエンドなのは、正直どうでもいいのだけれど、もうちょっと何かエピソードが知りたかった。手元に原作本があるので、その辺も含めてこれから読んでみるつもりだが、どうなのだろう?
一緒に見た友人の話では、あの原作をよく映像化したと誉めていたが、原作の良さを分からない私としては、まず本を読むしかないでしょう。少々期待しているのだが、さてさて???
いささか批判的な感じに取られるかもしれないが、映画としては十分に面白かったし、個人的には満足している。映画館でこの音楽と共に見て欲しい作品です。DVDでは、音楽が生きないかもしれない。
余談ではあるが、『夢』というキーワードで私が思い浮かぶのは、映画『ドグラマグラ』である。~胎児の夢~、という副題がついていたと思うが、大きな意味での『夢』を扱った映画としては、この作品に匹敵する作品を見たことがない! サブカル好きなら、絶対にお薦めする。自称アート系と称するいささか怪しい自意識過剰気味な諸氏(どんな人でしょう?笑)にもお薦めしたい作品。これを単館ロードショーしなかったのは返す返すも口惜しい(涙)。パプリカも悪くはないが、これと比べるとまさに常識範囲内の作品ではないかとふと思った。
SFの「ヴィーナス・シティ」にも何か通ずるものを感じた。
まあ、気楽に楽しめる作品です。カップルで見に行って、どうにかなる作品ではないけどね。六本木の場所柄か、1人で見に来てる男性がほとんどだったし。でも、音楽はとっても好き♪
そ・れ・と・・・。
サイコセラピストの千葉女史がちょっと好みのタイプなもんで・・・(笑)。眼鏡をかけている場面が少なかったのが残念。あれでもう少し眼鏡をかけている場面が多ければ、個人的にはOK(どんな理由だ?)。
あと、今月からおぼつかないながらもまさに仮想空間たるオンラインゲーム「second life」を始めたので夢の世界で擬似的な感じのまま溺れていく感覚がより実感しやすくなってるかも? あと数ヶ月で日本語版も出るらしいが、そしたら、思いっきりはまるんだろうなあ~と期待しつつ怯えている毎日。
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関連サイト
パプリカ公式サイト
関連ブログ
イノセンス(2004年)押井守監督
「パプリカ」筒井 康隆 中央公論社
パプリカのエンディング曲 無料配信
勢いあまってしまいました。ZZZZ・・・・
夢ってやはり興味深いものです。
萩尾望都の「バルバラ異界」も連想させられますね。
オルダス・ハックスレーの「知覚の扉」の夢の定義が
一番自分にはしっくりくるかな。
本の方も読んでみたい。
しかしドグラマグラの映画あるんですか!知りませんでした。それは凄いなあ。
それも観たい。
オルダス・ハックスレー、名前は聞いたことがありますが本も全然読んだことがありません。ちょっと関心を持ちました。面白い本でしょうか?
seedsbookさん>ドグラマグラの映画があるんですよ~。是非、機会があればどうぞ!! 私はこの映画を見て原作の本を読まなければと思い、早速本を読みました(笑顔)。
若かった頃夢中になりました。
もっともここ20年近く読み返していないので、
またこれを機会に読んでみようかな。
この本は彼のメスカリン服用実験記とその続編の
「天国と地獄」の二つがはいっている単行本です。
訳者によればハックスレーは頭脳の切れ味とべら棒な博識で知られた人だそうです。
そういう彼が大人気を博した小説家の地位を捨て、
神秘主義と東洋への急傾斜の過程で書かれた本のようですね。
読みたい本がいっぱいで目移りしそうです。なんか楽しみです♪