別なNHKスペシャルを検索していて、たまたま見つけてみたもの。
去年の放送だったようだが、ここまで来てたのか~と改めて驚愕したので、ちょいメモ。
従来、日本の自動車企業などは、外国からしばしば批判されていたような『系列』というサプライチェーン網の頂点に立ち、親会社、子会社、その数次に渡る下請け(協力)企業共々、売上の増加に従って、それぞれが売上、利益、企業規模の拡大を果たすwinwinの関係だったわけですが・・・・。
自動車産業が国内400万台を頂点に、海外の伸張に反比例するように国内販売数を落とし、300万台死守を最後の砦にするような昨今、それはサプライチェーン網(ピラミッド)の下部構造を支える企業にとってはまさに企業の存続を賭けた死活問題だったりするわけです。
一度、そのピラミッドに入ってしまえば、安定且つ継続して伸びていく受注に対応するだけで自然に利益も企業規模も増大する時代は過去のものなんでしょうね。
以前は、増大する注文をいかに断るかが、大変な仕事だったという言葉とは隔世の感があります!
私なんかもしばしばそういう話は、いろいろ聞いていましたし、ビジネス誌などを読んでも親会社について下請け企業が海外にいかに進出していくか?そういったことがテーマの記事を読んでいましたが、もう、全く違うのですね。
国内が縮小均衡する中、現状維持+成長を求めて海外に進出しようとしても、既に海外の生産拠点では現地の企業をサプライヤーとした新しいその生産拠点単位のピラミッドが既に形成され、そこに新たに加わろうとしても、価格で競争できるのか?という冷ややかな応対をされる二次受け企業の姿を紹介していました。
海外に進出しさえすれば国内と同様に、仕事は黙っていてももらえる状況では既に無いという現実。
時代はそこまで既に行っているのだなあ~とそのドラスティックな環境変化を実感します。
そして、現地企業が地元の優秀な人材を採用し、そこで継続的な企業教育を行い、下請けメーカーとしての技術水準を向上させるべく活動し、これまた発注元企業が自ら指導しているその姿はありしの日本の姿でもあります。
ただし、もうそこで働くのは日本人ではなく、日本企業ではありません。
現地に根付き、現地の人によるピラミッドの構築は、世界をマーケットにして伸びていくグローバル企業としては望ましい姿だと思いますが、日本に雇用は残らないでしょう。
民主党さんが散々、貴重な時間と資金を浪費し、さらに大いなる機会損失をもたらしている間に、日本企業はもうそういうところまで行ってしまったんだなあ~と思いました。
国内では食っていけず、海外でピラミッドに入れるか、確かな確証もないまま、このままつぶれるよりはと海外進出を決める二次受け企業。生産施設の移転に伴い、国内に生まれる余剰人員のリストラ。海外拠点での活躍を期待される若手の昇格人事と平行して、従来の課長・係長の降格人事の断行。
メーカーに限らず、中高年が切られていかざるを得ないんでしょうね。今後も益々、加速度的にそれが進んでいくのでしょう。
とは言っても、若手も若手で、自ら行動することや学ぶことをヨシとせず、利己主義的な個人単位での効率的な成果ばかりを求める思考にどっぷり浸かり、組織で成果を挙げることが出来ない病に陥っているようで、個人的にそれなりに優秀でもマネジメントに使えず、更にそれを冒険を含めた経験によって成長させる機会も、余裕も失われた今、どうなんだろうなあ~と思います。
先月読んだ『壊れる職場』もそうですが、人は育っていってこその『人財』だと思うのですが、それには多くの時間と労力とコストがかかるのですが、短期的な効率性の名の下にそれらがみんな削られてしまい、長期的な成長に必要な部分が全て切り捨てられてしまっている感じがして、どうしょうもないです。
かくいう私自身も、周囲に伝えようとしても相手も自分も時間的にいっぱい&いっぱいで研修の時間さえ取れず、目の前の仕事を処理することに追われてしまい、人の教育が出来ていないことに忸怩たる思いがあります。
ショック療法を狙った、自分が現場を離れることを目指した行動も上から却下されたしなあ~。
他にも人を育てようとしない人を管理職にしてもしょうがないような気がするんだけれど・・・・。
ただでさえ、人が流動的でノウハウ(共有知)の蓄積が進まないのに、属人的な仕事を拡大する方向で動いている現状がいたたまれないというのが実感だったりする。
「海軍400時間」の動画を3回ほど見返しているが、沈黙することはしたくないが、ただ声を上げるだけではなく、なんらかの動きにつなげて初めて意味がある以上、機会を捉えて様々な形で働きかけていく努力だけはしたいと思った。
たとえ、また「会社批判をしても仕方ないだろう」とお偉いさんから言われたとしてもね。
その一方で、会社を盲目的に信奉する気持ちも私にはないわけで、自己啓発を会社から促されて、業界特有でしか使えない資格など全く受ける気はなく(自腹だしね)、だったら、会社が潰れたり、売られた時に役立つ可能性が少しでもあるTOEICでも受けようかと思う自分がいたりする。
2000年に受けた以来だから、どんだけ昔やったんだと思いますけどね。
話がそれていますが、日本を代表する製造業などという言葉ももう風化しつつある今、特に電機とかね。
新興企業で伸びている会社の内部の話聞いても、とても人材育成になんて金も時間もかけてないし、益々、日本の強みであった組織的なノウハウは失われていくことでしょう。
企業は生き残り、日本人は衰退するのか?
あるいは日本国が衰退するのか?
いろんな意味で、これまで戦後、極力考えないようにして生きてきた日本人は、自らのアイデンティティーを問われることでしょう。追い込まれても駄目なら、滅ぶというのも歴史的必然かもしれませんしね。
歴史が今、作られているのを感じる特集でした。
また、この取材に協力しているだろうトヨタの真意を考えると、そういう時代であることをヒシヒシと実感しました。興味深い内容でした。
2013年02月10日
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