
少し前に流行ったドラッガーに便乗したなんちゃって萌え系ビジネス書。
萌え、つ~ほどでもないかな? 表紙とか挿絵がそれ風のちゃらさ。
正直期待はしていなかったが、読み物としてはそれなりにプロットがしっかりしている。
ストーリーに新規さはないが、ちゃんと最後で完結するようになっている。
本書では、ドラッガーの本の紹介者兼通訳として、女子高生を配役しているのがポイントであり、何も知らない無知な女子高生視点で(=経営書に不案内な無知な大人も劣等感を抱かずに)理解し易い説明がされ、さらに具体的で分かりやすい野球での具体的事例で補足される為、読書の分かった感は大きいと思う。
ベストセラーの条件に、普段その手の本を読まない層にアピールするという点で、上記のポイントは大きいと思う。実際にドラッガーの内容を理解することなしに、なんか理解したような錯覚をして、ちょっと知恵がついたようなお手軽な知的満足感を得られるというのが、売れた理由だったのかもしれません。
実際、私も読んでいる時にはもっともらしく感じたのですが、読後、数日経って内容をまとめようとすると、正直なんだかなあ~という感じがしてきたりもする。
著者は、AKB48なんかにも関わっている方らしく、そういう意味でまさにマーケティングを分かっている人が仕掛けた感がある作品です。正直、商売うまいです♪(笑)
顧客の求めるものを理解しているんでしょうね。
顧客の求めているものは、経営に役立つドラッガーの知識ではなく、手軽に読書することで得られる若干の目新しい刺激と仕事に役立つかも?という淡い期待感、人と話す時にとっかかりになる時事的な話題。
そういったものを十二分に提供していると思われます。
同時に、本書はドラッガーへの興味をかきたてるという点でも十分にその役に立つと思います。
本書を読んだ10人に1人。いや、おそらく100人に1人もいるかな?
きっとドラッガーの本にも手を伸ばすことでしょう。
それだけでも価値があると思います。
私も本書では何も分からなかったのでドラッガー読んでみようかと考えています。
出版社にはそれもおおいなる余禄でしょうし、雑誌で特集も組めるでしょうし、直接的な金銭的な利益への貢献も大きいでしょう。
きっかけを与えるものとしては良いのではないかと思います。また、それ以上のものを本書に求めるのは、いささか買いかぶりかなあ~とも思います。
【目次】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(amazonリンク)
プロローグ
第一章 みなみは『マネジメント』と出会った
第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ
第三章 みなみはマーケティングに取り組んだ
第四章 みなみは専門家の通訳になろうとした
第五章 みなみは人の強みを生かそうとした
第六章 みなみはイノベーションに取り組んだ
第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ
第八章 みなみは真摯さとは何かを考えた
エピローグ