
何よりも、吸血鬼という存在の持つ意味を歴史的な変遷から、時代ごとに読み解く一方、ブラド公ツェペシュやジル・ド・レ公、血まみれバートリー伯爵夫人など有名なエピソードももれなく入っていて、吸血鬼フリークを目指す方の第一歩にはふさわしい本ですね。だって、吸血鬼好きなんですと言ってるくせに最低限の知識も何にも知らないのでは、いけませんよ!
勿論、吸血鬼が生まれる時代背景や文化的背景、キリスト教における捉え方等もそれなりにきちんと説明されていますし、基本である「早すぎた埋葬」とかにもしっかり触れられています。また、単なる不死者に過ぎない存在が忌み嫌われる吸血鬼に成長していく過程も興味深く説明されています。
そして、有り難いことに文学や映画に出てくるドラキュラまで手を抜かずに解説してくれるのは、助かります。クリストファー・リーとか基本中の基本ですもんね! 古典を知らずして革新的なブレイク・スルーは生まれません(ほんとかい?)。

で、その後に吸血鬼妖魅考とか読むのがいいのかな?それとも澁澤氏の本の方がいいかな?日本語でも結構、いろいろありますし。先人の努力(物好き)に感謝。
(目次)関連リンク
第1章 血の執着
第2章 認められた吸血鬼
第3章 吸血鬼信仰の黄金時代
第4章 吸血鬼の復活
資料篇―吸血鬼をめぐる伝説・文学・映画(吸血鬼現象を読み解く―生者の驕り・死者の復活
ドラキュラという名の暴君
幾世紀にもわたる吸血鬼信仰
合理主義者の反発
『ドラキュラ』と『カーミラ』
詩になった吸血鬼
ドラキュラの里、ルーマニア
暴かれた地下墓所の悪魔の謎
映画における文学作品の吸血鬼)
ヴァン・ヘルシング(2004年)スティーヴン・ソマーズ監督
「アンダーワールド」スコット・スピードマン監督
「ドラキュリア2 鮮血の狩人」パトリック・ルシエ監督
吸血鬼伝説(amazonリンク)
今度は吸血鬼ですか。僕も結構好きです(笑)。モンタギュー・サマーズ 『吸血妖魅考』は、例によって積ん読状態です。河出文庫から出ていた種村さんの『吸血鬼幻想』が、絶版のようです。持っているので良いのですが、やはり、残念なことです。ところで、吸血鬼つながりということでTBさせていただきます。いつも脇道にそれるようなTBばかりして申し訳ありません。
あっ、でも絶版になってるんですか、残念ですね。分かり易い本でしたのに。種村さんが亡くなられてから、更に見かける本が減ってきてるような気がします。面白い本をパラパラ書かれていましたが、イマイチ知名度がないせいか将来的に少し心配かも? 気になる本は、何冊か既に購入済みですが、なくならないように要注意かもしれませんね。
いつもTB有り難うございます。ポー一族は定番で有名なのに実は読んでいないんですよ。少女漫画も好きで、以前はかなり読んでいたのに何故か縁が無くて…。漫画喫茶で読もうかな?
最近、また本や漫画の購入量が多くて、部屋が更に狭くなって困ってます。8畳が何故か1畳のスペースしかないような…(涙)。重要でないのは処分しないと!
ポーの一族は傑作です。ある時代を越えた血族のクロニクルとして楽しめます。
種村氏の本は絶版になっていたのですか・・・・・
昔から欲しかったわりには手にいれることのなかったもの。もう入手が無理だと思うと実に残念です。
この本も基礎としてよさそうですねえ。
(今はちょっと買い控えますが)
東欧の土着の怪物がロンドンでおしゃれな鬼になるまで、やはり興味深いです。
このあたりはスイスでのバイロンとその仲間の例の一夜がからんでいるようですけれど。
それはそうと私は吸血鬼には怪奇と幻想の世界に生きて欲しいのです。
最近の吸血鬼って信仰心のない人間がかざる十字架はせせら笑ったり、防御服(?)着て昼間外にでたり、実にかわいくない!(笑)
そうですね、吸血鬼は既に失われた異界の住人なのかもしれません。鬼や妖怪が、闇の支配者から姿を消したのと同様に寂しい限りです・・・。
かわいい、というと語弊がありますが、愛しい吸血鬼がいいなあ~。