2007年01月30日

「世界古本探しの旅」朝日新聞社

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世界中にある古書店の紹介の本であって、決して古書を探す話ではない。また、初めに本の企画があり、それぞれ適当な(?)人に依頼して作成したのがありありと出ているのがなんとも興醒めな本である。なんせ、著者達自身が古書店を使っていないのに記事を依頼されたと書いているぐらいで、本当に本好きな人の役には立たない。せいぜい、こういった稀稿本を扱う業界が世界中にあるんだなあ~と思う程度。

個々の本屋は確かに個性があり、格式もあり、実に面白そうな本を取り扱っていそうではあるのだが、著者達自身が自分で使っていない本屋を紹介しているので馬鹿馬鹿しくてお話にならない。実際にその古書店を利用している人の声が聞きたかった。

従って、記事の内容も書店のおおざっぱな紹介と書店側から言われるままに販売中の書籍タイトルをただ文字にした、それ以上の水準ではない。朝日新聞らしいと言えば、まさにそうとしか言いようがなく、本に対する情熱を感じられない。

ただ、写真は大きいし、いい写真を使っている。でも、記事の内容はかなりつまらない。おまけに無駄な空白が多く、情報量自体が少な過ぎる。少なくても頁を増やさずに情報量は3倍にできるのではないだろうか? 本好きだったら、失望するような感じがするが、私だけだろうか? 値段だけ、内容に比して驚異的に高いと思う。

でも、一つだけ読んで良かった情報があった。ウォラギネの黄金伝説の1499年版だったかな?230万円ぐらいで買えるらしい。ラテン語なのが問題だが車を買うなら、絶対にそっちを買うな、私。

とてもではないが、今は買えないが、ラテン語の勉強して死ぬまでに絶対に買おうっと!! あ~あ、5年前に買っておけば良かった。あの頃なら、買えたかもしれない。まあ、いい目標ができました。読めない本は買わない主義ですから、とにかくラテン語をやらねば&ねばと!
【目次】
パリ古本探しの旅(荻野アンナ)
ロンドン古本探しの旅(瀬戸川猛資)
フィレンツェ・ボローニャ古本探しの旅(和田忠彦)
アメリカ南部古本探しの旅(越川芳明)
ミュンヘン・ウィーン古本探しの旅(池内紀)
マドリード古本探しの旅(野谷文昭)
南仏古本探しの旅(浅野素女)
ミラノ古本探しの旅(和田忠彦)
ローマ古本探しの旅(和田忠彦)
世界古本探しの旅(amazonリンク)

関連ブログ
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「われ巷にて殺されん」紀田順一郎 双葉社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演
ラベル:書評 古書
posted by alice-room at 20:55| 埼玉 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同じ感想の方がいたとは嬉しいです。
まあ、利用したことがない人が企画をし、
利用したことがない人が訪問し、記事を書いていますので、
どんな本が出来るのかは、わかりますよね。
私は期待もせず、図書館でこの本をめくってみました。
たいしたことは書いていないし、欧米の古書店の
雰囲気って、こんなものだなと、欧米の古書店の動向を
知らない人が雰囲気をつかむことが出来る程度ですね。
当然ながら、大都市の古書店しか取り上げていないが、
大都市の古書店の価格設定は、大体のおいて、地方よりも高めですね。
本音を言えば、自分だけの秘密のお気に入りの古書店は
誰にも教えません。荒らされては困りますから。
私も教える気はないです。自分が買いたい本をすべて買った後なら
教えてもいいかもしれないが、それ以前には教えません。
墓場まで持っていきます。
Posted by 愛書家 at 2008年04月11日 09:00
愛書家さん、初めまして。私も同感された方がいらして嬉しいです。やっぱり、そう思っちゃいますよね。

>本音を言えば、自分だけの秘密のお気に入りの
>古書店は誰にも教えません。荒らされては困り
>ますから。

あっ! それって、本当に分かります!!
勿論、素敵な古書店さんがある程度繁盛してくれなくては困りますし、応援したい反面、モノがモノだけにそう何個も同じものが入荷しない以上、全てが限定品になってしまうので競争の激化は避けたいですものね。

自分が買いたい本を買った後でも、購入したい本自体が増えていきますし、新しく入荷する本もあって一生教えられないかも・・・。

いやあ~なかなか因果ものです(苦笑)。コメント有り難うございました。
Posted by alice-room at 2008年04月12日 04:21
私は、この本を鎌倉の木犀堂で見つけ、イギリスの古書店3件をまわり、うち2件で買い物ができました。また、1件の古書店では、ディーラーと親しくなり、倫敦と東京で1回ずつ食事をしながら、懇談する機会にも恵まれました。
この本で紹介されている、ニースのイルラムでは、アンリ・ド.レニエの挿絵本を1年前にネット検索し、手に入れていまして、懐かしい思いで読みました。
従いまして、この本は、私には大いに役に立った本です。
 本も道具と一緒で、自分自身で活用してみないと本当の値打ちは、わからないのではないでしょうか。
 紹介されている本屋のホームページにアクセスして目録を読み込んでみると随分勉強になりますよ。    
Posted by 行動家 at 2009年08月19日 00:15
行動家さん、実際に利用された方の貴重なご意見有り難うございます。ただ正直、私にはちょっと意外な感じがしました。

そこまで実際に行動されていらっしゃるなら、国際稀覯本フェアとか、以下の件もご存知だと思います。

でしたら、本書は必要無いように思うのですが・・・。

http://library666.seesaa.net/article/89353956.html

http://www.abaj.gr.jp/

私は、この稀覯本フェアで実際に話せたお店とかは、カタログ送付してもらったり、ネットで見ているのですが・・・。

自分の関心のある本のジャンルによっても違うのかもしれません。

ただ、最近購入した洋書は全然読んでいないで、積読状態で情報の感度が鈍っているかもしれません。

目録等を調べるのは、最近怠っているので自分でも、もう少し勉強したいと思います。情報有り難うございました。
Posted by alice-room at 2009年08月19日 05:03
 本を手に入れるという目的に限定してしまえは、ネットとカタログと、国際機構書フェアで十分かも知れません。しかし、それでは、狭きに失するものと思います。本だけでなく、書店の雰囲気、書店のある町の雰囲気、その国は様子。現地に行って、実店舗を尋ねて、現地の人たちと話をすることを一度なりとも経験したことは、大いなる収穫でした。内藤湖南は、「君はフランスをやるのかね。」とある仏文学者に言ったそうです。文学書を追いかけているだけではだめ、その国の文化を丸ごと飲み込むぐらいの気概で学問をしないさいという教えだと思います。
私は、現地に行ったときは、昼間は本屋と美術館・城郭見物、夜は、芝居見物、歴史のあるレストラン巡りと新聞やテレビを一切見ることなく、時間の許す限り、いろいろなところに顔をだしました。
Posted by 行動家 at 2009年08月19日 23:57
私は、プラハの古書店(読めませんでしたが)やバハマの図書館なども覗いていますけど・・・。

美術館や史跡巡り、ミュージカル観劇等も、基本ですね。うちのブログをもしご覧頂いていると、ところどころで触れております。

もっとも私は現地のTVも新聞も雑誌もできるだけ見ますけど。スーパーや小売店だけでなく、市場などを散策して物を買ったりもしますし。

ただ、誤解があるようなので申し上げますと本書については、私には価値があるように思えなかったということで、それ以外については、個々人の価値観であえて触れる気はありません。

それぞれの人が自分の価値観で判断すべきでどうすべきだとか他人が言うのは、いかがなものでしょう。個人的には書斎派でも良いと思いますよ。

価値の多様性の許容こそが、良識の保持につながるかと思いますので。最終的には何をしようが、その人はその人自身以外の何物でもないと思いますし・・・。
Posted by alice-room at 2009年08月20日 01:55
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