イラストは親しみ易いが資料的な価値はなく、絵解きエロ話といったレベル。特に高度経済成長期まではなんとか書かれているが、それ以降の同時代的な現代については、言及されていない。
出版社が民俗学などで有名な雄山閣の為、期待したが、残念ながら期待外れでしょう。わざわざ購入するほどの価値はないかと思います。
あえて本書の長所というと・・・。
江戸時代の売春の呼称の種類が非常に多く採り上げられているのは、ちょっと参考になりました。飯盛り女や湯女、夜鷹などは私も知っていましたが、これでもかというくらいの異名が挙げられていました。著者の好みで特に江戸時代の名称が充実しているようなのですが、一つだけ疑問に思ったのが実際上、それがどこまで当時妥当なのか?ということでした。
例えば、今の時代でいうなら、キャバ嬢に金を払ってHしたから、「キャバ嬢」とは売春婦の名称でもあったというのは、正しくないと思います。同様にAV嬢も売春婦ではないわけで、こういった類と同レベルの疑問が著者の記述に対して浮かぶのですが・・・???
あっ、本書自体は特に売春婦に限定しているわけではないから、いいのかもしれませんが、少しだけ疑問に思いました。それ以上、本書には特になんの感想もありませんでした。
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