
内容はかなり本格的な正統派妖しもの。怪談というよりは、不可思議な話というほうが実情に近いですね。基本的に怖いものではないです。上品で洗練された極上のエッセンス的な読み物。まさに徒然なるままに一つづつ読んでいくのに最適ですね。物凄く短いものから長いもの、王朝物からな・なんと現代物まで入っていて種類が豊富(個人的には明治以前ぐらいにして欲しかったけどね)。もうこれ読むの3回目ですが、まだ楽しめますね。(もっとも中国の聊斎志異は何度読んでも飽きないし、簡潔な文章に描かれる内容豊かな幻想・怪奇ものはまさに傑作!且つ古典中の古典!だと思うんですけどね)
枕元に置き、寝る前に何篇か読んでから我知らずまどろむ。というのが最高の楽しみ方かな?この中で個人的に気に入ってるのは、たくさんあるんですが・・・「閻王」なんかもいいですね。これって地獄の裁判官、閻魔大王のこと。肝試しで閻魔様の像を飲み会の席に持ってきたことから、閻魔様と知り合いになり、飲み友達になるんです。で、友人だからいろいろとご利益というか助言や手助けをしてくれたりします。だって、自分の妻の顔があまり良くないからなんとかしてくれって頼むと、死んだばかりの美女の頭と交換してくれるんですよ。凄いですねぇ~(ブラボー!!)。弓が下手だと、全身の神経を手術して配置を直して弓の名手にしてくれるしね。こんな飲み友達だったら、切に望みますね、私も。
「犬女」ってのもまた、正直過ぎ。犬でもなんでも、美女なら一切問題ないと手を出す始末。そりゃ気持ちは分かりますが・・・。
「天閹(ふたなり」このテーマも好きだなあ~。いわゆるアンドギュヌス(半陰半陽)って奴。男性の性器と女性の性器を持つというのも古来から知られたテーマです。実際にいろんなエピソードもあるし、本来男女が一緒になって初めて完全になるのに、生まれた時点で完結し、完全であるんですから・・・宗教的にも興味深い存在。以前調べた和漢三才図会とかにもあったなあ~。どっかに資料があるはずだけど…どこ行ったのやら?
他にもコオロギを扱ったものとか、非常に興味深いです。
他にも絶世美少女である幽霊と狐に愛されて、両方を妻にして幸せに暮らすなんて、まさにユートピアだと思うですが・・・(笑顔)。日々の暮らしの心配もいらないしね。まあ、そういった話がたくさん載っています。
タイトルに恥じず、きちんと聊斎志異になっていますので同好の士はもっていて良い本でしょう。日本霊異記や今昔物語、小泉八雲の怪談とか好きなら読んで間違いはないです。そうそう、アマゾンのレビューは酷評でしたけど、私は好きですね。素直に楽しめました。
【目次】人妖、鳰姫、閻王、犬女、桃香、放蝶、天牛、抜け馬、死を幸う、犬と新妻、碁狂、帝大生、将門公異聞、妖術、宝、鯰隈、不老長生、蓮の香、薮医者、琵琶湖怪、益荒神、清少納言、昆虫商、医学博士、菊とねね、迫力ある人物、丐仙、蛙神、蛙神二、夫婦仲、珠ゑ、美男、六畜瘟神、牛飛、天閹、怪洞、喪服の女、蟋蟀合わせ、博士の父、後北条家縁起、淀屋闕所、志乃、酒友、孫悟空、真悠子、六郎、予言、寧々と乃々、毒酒小兵衛次、白茅、天機、白石異聞、菊精、狐玉あとね、妖怪や不思議な話が好きでまだ未読の方には絶対に聊斎志異をお薦めします!!これだけは読まないと損だと思う。私のお薦めは平凡社版(上下2冊)。他にも岩波や角川とかいろいろ読んだけど、シンプルな平凡社のをお薦めします。道教思想や金丹、狐や鬼、幽霊、化物等々がもう嫌ってほど味わえますよ~。
本朝聊斎志異(amazonリンク)
聊斎志異 上 奇書シリーズ(amazonリンク)
聊斎志異 下 奇書シリーズ(amazonリンク)
とても面白そうな本ですね。これもブックオフで見かけたら購入する本のリストに入れておきます。(笑)アマゾンのレビューでは、翻案ものと酷評されていましたが、傑作と言われる上田秋成の『雨月物語』の中にも翻案に近い作品があります。純粋な日本のものという方が少ないと思います。それにしても、alice-roomさんの口上が上手いので、積ん読の山があるのに、新刊本で購入しそうになりました。(笑)
>積ん読の山があるのに、新刊本で購入しそうになりました。(笑)
それはいけません(笑)。さっきも地震がありましたが、未読の本でつぶされてしまいますよ~。既読なら、少しは諦めもつきますが…(つきませんね)。
本朝というのが頭についているので、日本というのに拘る方にはいささか、不満があるのかもしれませんが、面白ければなんでもOKという私のように節操の無い方なら楽しめると思います。lapisさんがいわれるように翻案もので名作も多いですしね。中国物の古典も基本的には大好きなんで全然違和感もないですし。
と言いつつ、手元に「大唐西域記」があるんですか、読もうか読むまいか悩んでいたりします。思いっきり分厚くて…。いずれは読むにしろ、もうちょっと薄い本にしようかなと(ハハハ)。あと、西鶴とか以外にSFやら外国物が…。
先日、部屋を整理した際にもはるか昔に読んで(?)内容も書名も初めてみるような本が何冊か発見(!)されたので、それも気になっています。ふう~。読書は楽しいのですが、ノルマに追われるようで…この世の無間地獄ですねぇ~(極楽でも同じ事していそうですが)。