前回読んだトマス・マロリーの「アーサー王の死」 だと肝心な聖杯探求の部分がカットされてて残念でしたが、こちらにはしっかり描かれてました。訳者は同じ厨川氏なのに差別だあ~、なんてね。でも、私としてはこっちの本の方がいいなあ~。勿論、重複するところはありますが、こちらの方が夢とロマンに溢れていますね。少年少女向きの方がいいや。あちらは、ランスロットとグウィネヴィア王妃とのロマンスがごちゃごちゃ書かれていていささかまどろっこしいのに対して、こちらはスッキリしています。
そもそもこの本は現代の作家がアーサー王伝説や聖杯関係のものを取捨選択して書いたものを抄訳したもので、前回の本では入ってなかったガウェイン卿と緑の騎士、ガラハッド卿の聖杯探求、トリスタンと美女イズーの悲恋物語等々が入っています。マロリーの本には無かったものや、マロリーの著作から翻訳時にカットされているのが含まれていて聖杯に関心があるなら、こちらだけでもいいかも?
聖杯関係のところは、初めて知る事ばかりでなかなか面白かったが、それ以外は重複もあり、関心の埒外のテーマで退屈でした。ある程度、話を知っているなら飛ばし読みでいいかもしれません。物語は面白くないとね!
で、この本で初めて知った聖杯に関することをメモしておくと。
聖杯とロンギヌスの聖槍は、アリマテヤのヨセフがはるばるこの地に持ち込み、ヨセフの子孫であるペレス王の城の一室で保管されている。その部屋は、消える事のない金の燭台で照らされ、ヨセフの子孫以外はガウェイン卿が入ったのみだった。
あのランスロットでさえ、現世での罪で触れることのかなわない聖杯だが、ランスロットの息子ガラハッド卿が聖杯探求の旅の結果、部屋に辿り着き、それに触れて中から聖酒を飲むことができた。それによって聖杯の司祭であった聖杯の乙女の呪いは解け、普通の人になれた一方、聖杯の守護者である隠者ナーシアンスは眠るように亡くなる。なすべきことをなしたガラハッドの魂が天に召されると、聖杯と槍は天に昇って消えてしまった。
よく分からないんですが、ほとんどみんな死んでしまうんですね。魂が天に召されたから、めでたし&めでたしなのかな。あと、この本の中でちょっと面白かったのが聖槍から滴り落ちる血。十字架にかけられたイエスの脇腹を突いた槍ですが、切っ先から血が滴るものの、地面につく前に血が消えてしまうのだそうです。興味深いですね。
そういえば、ロンギヌスの槍ってどこかの博物館にあるんだよねぇ~。どこだったか忘れてけど、それを所有するものは現世を支配する力を有すると言われ、時の権力者がそれを求めたとか。中でも有名なのはあのヒトラーがまさにこの槍を見た時に、世界を支配するのは自分だと告げられたとかなんとか…?そんな眉唾の話がありましたね。
単なる聖遺物でも大騒ぎするんだから、この槍は強烈な力があるんでしょう。見てみたいなあ~、どっかの本に載っていたんだけど…???
まあ、それはともかく聖杯について私のように何も知らない人は読んでみるといいかも?既に知っている人には無用でしょうね、この本は。
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関連ブログ
「アーサー王の死」トマス・マロリー 厨川文夫・圭子訳
キング・アーサー(2004年) アントワン・フークア監督
他にも、これがロンギヌスの鎗だと言われてるのが各地で公開展示されてるようですが、
これは、ヒトラーが絡んだというので、そういう意味での価値というか人気はあるようですね。競馬で大本命、一番人気と呼ばれる馬は、あくまで戦前の下馬評であって、それが本当にレースで勝つかわからないのと同じで、このウィーンの鎗も、ロンギヌスの鎗の本家と呼んでやっても良いかも知れません。
皇室の三種の神器を見れば、皆がどう思うのか・・てのが大事なんですし・・
イラク戦争で アメリカ政府が、フセイン政権は「大量破壊兵器を隠匿している」と喧伝してましたが、
「本物」って実在するんか!?・って思うことも多いですね。
それが「発見」される または「発見」を諦めました ありませんでした、という「公式発表」とやらが出るタイミングというのは、関係者のご都合主義で、そういう話しの、陰謀論ってリアリティを感じてしまいますが、
昔の人は、キリスト教に限らず、聖獣だとか、聖遺物だとかで、「ああ、やっぱり この戦争には大義があるんだ・・」とか感じてしまってたんでしょうね・・
現代人もそうですが、目に見えない抽象的な話より、具体的に見えて触れるものがいいんでしょうね! 私も是非、聖遺物見てみたいし(なんて、俗物な私、笑)。
いつの時代も、情報ってのは加工・操作されてますね。それを知りうるのは、一部の為政者だけで。