
中世に遡る鮮やかで美しい手写本から、初期印刷本(インキュナブラ)以降の印刷本まで、世界中の美しい本が紹介されています。

美しさを一つの観点にして本を捉えている点からも図版が多いのが長所なのだが、カラーが少なく、モノクロが圧倒的多数。残念ながら本書自体は美しい本の部類には入らないかと思う。カラーの図版もできれば、紙を変えるべきだったと思われる。

値段もそこそこするので、あえて購入して手元に置かなくても図書館か本屋でさっと見れれば、それで十分だと思う。同じお金出すなら「ケルズの書」でも買いましょう。満足度ははるかに高いよ!

著者は英国の古書籍業者で非常に有名な方らしいです。仕事柄、稀稿本に接する機会も多く、書誌的知識も豊富な自らの店のカタログは大英博物館にも納められるほど・・・という宣伝文句が書かれていますが、本書に関する限り、そんなたいしたものではないように感じてしまいます。

まあ、稀稿本などおよそ手を出せない庶民の私が言うのもおこがましいのですが、他にも類書を読んだ限りではよくあるような内容です。悪くはないですが、決して飛び抜けて素晴らしい内容には思えません。詳しくきちんと知識を得たいなら、下に紹介している本で使えるものを読みましょう♪

【目次】第1章 中世の彩飾写本あとね、著者がイギリスのロンドンだから、仕方ないのかもしれませんが、第3章は不要だと思います。全然、綺麗だと思わないし、歴史的にも古くもないしね。どうせなら、第1章と第2章だけでもっと充実したものだと個人的には嬉しかったです。
第2章 初期印刷術
第3章 彩色図版のあるイギリスの書物―1790‐1837
第4章 プライヴェート・プレスの時代
本書に載っているいくつかの図版を紹介しておきます。
・ラトレル詩篇
・楽園を追われるアダムとイブ
・ノアが箱舟の建造を指示している図
・時祷書
・神の国

美しい書物の話―中世の彩飾写本からウィリアム・モリスまで(amazonリンク)
関連ブログ
「ケルズの書」バーナード ミーハン 創元社
「図説 ケルトの歴史」鶴岡 真弓,村松 一男 河出書房新社
「中世ヨーロッパの書物」箕輪 成男 出版ニュース社
「美しき時祷書の世界」木島 俊介 中央公論社
「甦える中世ヨーロッパ」阿部 謹也 日本エディタースクール出版部
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
私も今、買おうかな?と思っている本がありますが、持って帰るのが大変。そのうちに。
ところで、3月末に『サン・ジャックへの道』という巡礼を題材にした映画が公開されるそうです。うちの近くの映画館では上映しないので、見に行けるかどうかわからないけれど、とても興味持っています。
本は買った時、見ている時、本当に嬉しいのですが、重いのって大変ですよね。置き場所にも困るし・・・。同感です。
大阪のマリアさん>いやあ~、確かに家のあちこちに本が埋もれていて身内から冷たい目で見られていますが、そんな立派な本は一つも持っていませんので(残念!)。
『サン・ジャックへの道』ですか。うわあ~、なんかそそられますね。ここですね。
http://www.saintjacques.jp/
でも、見たら是非行きたくなってしまいそうで怖いです、ホント。大阪のマリアさんは大丈夫ですか?