
【目次】個々の建築物の説明、全体の通史的な説明部分は紙幅を考慮すれば、可も無く不可も無くといった感じでしょうか。
古代・中世・ルネサンスの教会建築
1章 教会建築の誕生―バシリカ形式と集中形式
2章 ビザンツ建築―古代建築最後のきらめき
3章 地方性豊かなロマネスクの教会建築
4章 ゴシックの光―サン・ドゥニ修道院長の新たなコンセプト
5章 完全性をめざしたルネサンスの教会建築
6章 ゴシックとルネサンスの融合と衝突
宗教改革とカトリック改革以後の教会建築
7章 プロテスタント諸派の教会建築
8章 イエズス会の教会建築
9章 教皇のバロック―ベルニーニとボッロミーニ
10章 新古典主義の教会建築
11章 ゴシック・リヴァイヴァル
12章 近代建築運動と教会建築
勿論、充実した説明ではないですし、必ずしも適切な説明でなさそうなところも感じましたが、採り上げられている建築物は、定番であることを抜きにしても良いものがバランス良く選択されて紹介されていると思います。
そして、実際の建築物を紹介する為に載っている写真の選択も良いと思います。
少なくとも、私は載っている写真、好きですし、建築物の特徴を良く現していると思います。
他の建築の本で、なんでこの建築物でこの写真を使うかなあ~?というような違和感を本書ではほとんど感じませんでした。
実際に、自分でも見たことのある建築物が幾つも載っていましたが、自分の見た感じや自分でも大量に写真を撮った中で選らんだ感覚と一致するものが多かったです。「なんかこれは違う」というのが無かったです。珍しいことに。
また、逆に本書を読んで(見て)初めて、今度はここに行って見てみようと思った教会建築がたくさんありました。そういう意味で、本書は私には興味深かったです。
コラムもこの手の本にしては、なかなか面白いテーマをうまくまとめて説明されています。より深く調べようという気になる、いい契機になるような内容でした。
教会建築の歴史的概説としては、良い本ではないでしょうか?
バランスが悪い本や違和感のある写真が多く載っている本が多い中では、全体的にバランスの良い本だと思います。読んで悪くないかと。
図説 キリスト教会建築の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)(amazonリンク)
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「世界の建築第5巻 ゴシック」飯田喜四郎 学習研究社
「図説 西洋建築の歴史」佐藤 達生 河出書房新社
東京人「宗教建築」2006年07月号 都市出版
「新版 ヨーロッパ建築序説」ニコラウス ペヴスナー 彰国社
「世界歴史の旅 イタリア」池上俊一 山川出版社