
上記が印刷博物館で開催されたプランタン=モレトゥス博物館展のカタログ(~「印刷革命がはじまった:グーテンベルクからプランタンへ」)です。表紙右と下の装飾など、ちょっと凝っていたりします。

この図録は実に図版が多く、基本はカラー(現物がモノクロである場合が多いが)であり、実に美しいカタログになっている。値段は張るが、しっかりした作りであり、さすがは本家の印刷会社が力を入れているだけあると思わせるだけの出来になっています。

図版もさることながら、個々の印刷物の説明もいいし、世界史的な視野から見て、全体を貫くプランタンという印刷業者が果たした役割の説明も実に充実していて本当に勉強になるし、印刷技術や書籍というものに関心のある人ならば、資料として是非持っておきたい本だと思います。展覧会のカタログですが、私的には十分に立派な本ですしね。

お金があったら、是非、こういった本が欲しい!と切に願ってやみませんね。ホント!

本書の内容には初めて聞くようなことも多く、メモとして別のところに引用しておきましたが、世の中というのはしたたかでないと生き残れないんだなあ~と思いました。

最近、思うんですが、宗教改革というのは世界を形作る枠組みを変革するほどのものだったのですが、産業革命同様にそれを成立させる基礎的条件が揃って初めて成し遂げられてものだったんだなあ~と思います。
カトリック側の腐敗のみならず、都市の自立やそれに伴う人々の意識の変化、種々の変化を促進する情報伝達手段の成立・発達(=印刷革命)などね。

直接行かないと買えないかと思いますが、印刷博物館に行く機会がある方。是非その目で確かめて気に入ったら、忘れずに購入しておきましょう♪ 多言語聖書など、写真で見ても感動するほどの出来映えです。

【目次】
<序論>
印刷革命がはじまった:グーテンベルクからプランタンへ
マインツからアントワープへ
オフィシーナ・プランティニアの活字製造
クリストフ・プランタンと挿絵職人
<図録>
第1部 出版のはじまり
プランタン=モレトゥス家の系譜
オフィシーナ・プランティニアーナと日本
フェリペ2世とプランタン=モレトゥス
第2部 オフィシーナ・プランティニアーナの偉業
ユマニスムー書物、コスモポリタニズム、書簡のネットワーク
第3部 同時代に生きた人々
メルカトル、オルテリウス、ルーベンス
関連サイト
印刷博物館 公式サイト
関連ブログ
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ~メモ
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展 2回目
これだけでも何時間も見ていられそうです。
印刷博物館のこと、知りませんでした。
ついこの間、トッパンホールに行ったのですが、全くその存在に気づいていませんでした!(ぼーっとしすぎですね…)
印刷博物館、是非、機会があれば寄ってみて下さい。あの門外不出(?)のバチカン図書館の本が展示されるような、かなりレアな企画展もあったようです(私は知らなくて見逃したのですが)。結構、穴場だと思いますのでお薦めです(笑顔)。