
よくあるようなテーマの事典で、間違っても自腹で購入しないけど、読んでみたいタイプの本といったところでしょうか? 実際、一通り全ての項目名に目を通し、興味があるものは個々の説明をチェックしてみましたが、あまり大したこと書いてない本というのが、感想です。
そもそもの原文の著者が作家さんで、興味に趣くまま書き散らかしたもの、というのが実情に近いように思われます。ただ、通常だとキリスト教やその関連に限定されたうえでの「天国」と「地獄」の関連項目になりますが、本書の場合は一切の制限をつけず、それ以外のゾロアスター教や仏教、イスラム教、神道など宗教や神話等々、およそ人が考えたり、思ったり、伝えてきたものなら、全てを対象にしています。
そういった意味で、人間がこれまでどのように「天国」と「地獄」という概念を扱ってきたのかを知ろうとするには、役立つかと思います。アフリカの神話や日本の神道まで対象にしようというのは、面白いです。文化人類学的な視点とでも言えば、良いのかも?
ただ、良くも悪くも著者が知り得た範囲でただひたすら書いているというのがその真相に思えてしかたがありません。というのは、個々の項目の説明に割く紙面が少ないという制限以上に、内容が薄っぺらいし、ポイントがずれていると思われる箇所が散見します。要はもっと、適切且つ簡潔な表現ができるでしょ!ってこと。
あえて言うと、ステンドグラスや教会建築に関する記述などは、論外ですね。内容不適切&不十分で破棄!ってなカンジ。逆になんでこんなことまで?という訳の分からない細かい事まで書かれている場合があって、著者が記述している項目の重要性をほとんど意識せず(or 認識できず?)、書いているとおぼしきところも頻繁に出てくる。
ずばり言うと、本書は大枚はたいて買うべき本ではないなあ~。質よりも量を目差しているのかもしれませんが、量自体もたいしたことないです。たま~に、本当にごくたまにですが、自分が知らなくて大変面白い項目がありましたので、そういうのを見つける為に目を通すと良いかも。それ以上の、使い道はないかと思いました。
むしろオーソドックスなキリスト教限定のものの方が使えそうな気がします。
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実際の内容で関心のあるものを抜書きしました。