
先にもう少し詳しく説明すると、イエスが布教し、奇跡の復活を遂げた当時、直接イエスに会った事は無いものの、とかく噂に出る有名人イエスに興味を持った非キリスト教徒のエジプト人が主役。この主人公が自分は会ったことのないイエスの事を知りたくて、イエスに会った人々から感想を聞き集める。また、イエスが処刑後、復活したと聞くと、奇跡が信じられず、その合理的説明を求めていろいろ調べまわるという話になっています。
で、当時の複雑な宗教・政治事情や文化的状況を背景に、仕組まれた謎を解明する、というのんですが…。まあ、率直な感想としてはこんなもんかなあ~って。全く推理も何もないと思うんですが、第一読み物として面白いところが全く無い。こんなんで本を出せるなら、もっといい本を出した方がいいんじゃないの?って思ってしまいます。ある意味、予想通りのお粗末な水準の小説でした。
何よりもコレ駄目だあ~っと思ったのが、巻末の資料。結構、二流の資料ばっかり読んでる。おまけに【注記】にはいくつか中心的な資料についてコメントを書かれているが、バーバラ・スィーリングの「イエスのミステリー」をご大層に持ち上げてそれを参考にしていると述べられている。私がトンデモ本だと書いて、小説のネタ本にはなるだろうと思ってましたが、そのまんまネタにするとは…安易! そうそうしっかり「死海文書の謎」も文献に入ってました。まあ、作家さんの読む本ってそのレベル止まりなの? 著者の経歴読むと、学者さんの孵らない卵レベルでもう少し期待していたので、残念。
別に小説に対して、史実としてどうかや仮説を求めている訳ではないので面白ければいいのですが、つまらないのは悲しい。逆に歴史書でないだけに面白くなく、知的好奇心も刺激しないものならば、不要な小説でしょう。出版社もこんなのに大仰なコピーをつけて売るのは、どんなもんでしょう? 面白いのを読みたいなあ~。
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