定価で一万円ですが、ちょっと暴利貪り過ぎって感じします。高名な紀信氏の写真ですが、正直言って全然良くない。使えません。写真向きの印刷に適していない紙というのもあるのでしょうが、たくさんのシャルトルの印刷物を見てきた感想としては、良くない部類に入ります。
また、磯崎氏の説明も同様に不要。中世の建築物を現代建築の視点で捉えようとしているようで、あくまでも中世の建築をただ&ただ知りたい私には読んでいるだけ無駄。
本書で唯一にして、読むだけの情報的価値を有するのは前川氏の「シャルトル大聖堂とゴシック建築」の部分。実際、本書のうちで60頁弱を占め、シャルトルに関する歴史や伝承を含め、ゴシック建築全般に至るまで大変勉強になり、有用。特にシャルトルの伝承に関する部分は、他の本でも散見するが、結構まとまっている方なので押さえておきたいところでしょう。
なお、本書のゴシック建築に関する記述部分は前川氏の「ゴシックということ」で詳しく述べられているのでそちらを読んだ方が良いかも?
そうそう、巻末の参考文献も前川氏によるものでこれも使えます。できれば、一切の不要なところを除いて前川氏の文章と参考文献だけで廉価版を作って欲しいですね。二千円以下だったら、欲しいところです。私は必要なところだけ、1枚25円で40頁ほどコピーしたので十分でした。
でも、前川氏の部分だけなら、決して悪くないのにもったいない感じがしてなりません。
【目次】凍れる音楽 磯崎新+篠山紀信 建築行脚シリーズ 6(amazonリンク)
シャルトル大聖堂―ゴシックの光と構造 磯崎新
示現の装い 磯崎新
図版 撮影・篠山紀信
シャルトル大聖堂とゴシック建築 前川道郎
図版解説 磯崎新・前川道郎
図版
平面図
南立面図
北扉口
縦断面図
(身廊部横断面図、内陣部横断面図、クリプト平面図、地下部分年代図、北扉口断面図、断面の透視的概略図)
参考文献 前川道郎
図版 クレジット
関連ブログ
「ゴシックということ」前川 道郎 学芸出版社
ゴシックということ〜資料メモ
「シャルトル大聖堂」馬杉 宗夫 八坂書房
「ステンドグラスの絵解き」志田政人 日貿出版社
「フランス中世美術の旅」黒江 光彦 新潮社
「祈りの大聖堂シャルトル」小川国夫、菅井日人 講談社
「Chartres Cathedral」Malcolm Miller Pitkin
「シャルトル 大聖堂案内」ウーベ出版社