2007年03月13日

「ヨーロッパ中世美術講義」越 宏一 岩波書店

これも岩波市民セミナーでの講義を元にしたもの。図版の数は入っているものの小さいし、ほとんどがモノクロでよく分からず、実際には説明の役に立っていない。

また、解説自体が各種図版を元にして、それぞれの比較や影響などを個々の図版ごとに細かく説明するスタイルなので、不鮮明な図版でいくら文章で説明されても内容が理解できません。

おそらくその場でOHPなどで図示しながらの説明だとまた感想も変わってくるのかもしれませんが、本書だけで説明を理解するのは難しいし、そういった細かい点での配慮に欠けた本です。ただ、講義録をまとめたもの、そのレベルで終わってしまっているように思います。

図版ばかりが頻出するだけで、一番大切な本旨の部分が説明不足に感じられてなりません。勿論、私の理解力不足が原因かもしれませんが、この本だけ読んでも得る所はほとんどないように思います。これ読むなら、エミール・マールの本でも読んだ方がいいのではないでしょうか? 分からないなりにもパノフスキーの方がまだましではないかと・・・?
【目次】
第1講 中世美術の特質
第2講 中世絵画の様式的諸相と展開
第3講 中世彫刻の様式的展開
第4講 中世美術の図像学
ヨーロッパ中世美術講義(amazonリンク)

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ラベル:中世 アート
posted by alice-room at 20:38| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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