
本書自体が小さいので図版もそれほど大きくはないのですが、実に綺麗なカラー図版が非常にたくさん入っています。これが何よりも本書のウリ!彩飾写本など、かなりの量だと思います。これはとっても嬉しい♪
文章は本に関する歴史全体を扱っている為、個々の説明については個人的に物足りなさを覚えるものの、全体としては過不足なく、バランスのいい記述とも思えます。
グーテンベルクのところも、先日大変詳しい本を読んだから、どうしても一言言いたくなるところですが、紙面の制約からも本書でこれ以上、深く語ったら、バランスが取れなくなるから、しかたないでしょう。
でも、プランタン=モレトゥスにも触れているし、ケルムスコット・プレスについても書かれているし、やっぱりバランスがいいのは確か。宝飾品・貴金属と同等いやそれ以上に貴重な『モノ』としての書物が存在すること、そして人間にとって特別な地位を占める『書物』の存在を知るには、良い本だと思います。
とにかく綺麗な図版だけでも買う価値あると思いますよ~!! 見てるだけでもそこそこ楽しめます(笑顔)。
監修が荒俣さんというのも、やっぱりね、と納得する本でした。
【目次】本の歴史(amazonリンク)
第1章 手書きの本
第2章 グーテンベルク―謎の発明家
第3章 印刷術の飛躍
第4章 出版業への規制
第5章 本の勝利
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