
特に前半の100円均一台の話も、正直つまんない。珍本や奇本があったと言われても、そのウンチクに深みが無いのでくだらない。物を知っているのはウンチクにあらず、それを関連付けて適宜語ることに付加価値である意義が生まれると思うのだが・・・残念。
オマケにしばしば食べ物の話が入るが、貧乏臭さが出てていやらしい感じさえする。風流や粋に関連付けてもくだらない個人の思い出話をそのままエッセイにするだけの文章力も風情も無い。端的に言うと、日本の私小説的な貧乏でみじめったらしい話を内輪でするレベル。むしろ清貧や狂気の一歩手前のビブリオマニア(狂書家)なら、それはそれで私の好みなのだが、凡人は嫌い。そんなのいくらでも周りにおりますので結構。どうせなら、普段知り合えないような変わった人(偉人・変人・天才等々)が出てこないと・・・。
ただ、真ん中辺りに出てきた吉原とかの色モノ系は、結構良かった。こういうのは割合スキ!なかなか風情があるのがいいです。もっとも、その裏には悲惨な世界が表裏一体なのですが…。でも、廓用語はあまり無かったかも。「初会」「裏を返す」「お茶引き」とかって言われてピンときます?この本ではそういう基本的な事にも触れてませんでした(実は、これ今でもある種の業界では一般に使われてるそうです。別な本で読んで初めて知りました。日本の中でも未知の世界は転がってますね)。最低限それぐらいは著者もご存知でしょうが、そういうのに触れても良かったかもしれませんね。私としては遊里に関する資料も集めてみたいだが、これはマニアが多くて値が張るので今は傍観してます(涙)。だから10冊も持ってないだろうなあ~、江戸風俗系は。
そうそう、幇間(ほうかん)についての話がありました。これはまあまあかな。ちなみに幇間って太鼓持ちのこと。「よっ、旦那いいお天気でござんすね」なんて調子良く座を盛り上げながら、お大尽達が気持ち良く遊ぶのをお手伝いする御茶屋のコンシェルジュみたいなもんです。日本にも昔はそういう粋なお仕事があったんですね。私の憧れだったりしますが…(ニヤリ)。
そういえば、以前仕事関係で分不相応にも、京都の祇園祭の時にお茶屋で連チャンで遊ばせてもらったことがありましたが、上げ膳据え膳で踊り見ながら、酌してもらい、遊ぶのはなんとも愉快でした。でも、さすがに京都の老舗でも幇間はいなかったなあ~。私以外はみなお年を召したお偉いさん方ばかりでしたが・・・。そうそう、舞子さんにもいろんな性格の人がいますね。なかなか面白かったです。キャバクラ行くなら、やっぱお茶屋遊びがいいなあ~。自腹じゃ、いけませんが・・・。ちなみに、おみやは八坂さん(八坂神社)の厄除けチマキと和装用の煙草入れ。
だいぶ、話が飛んでますが、失礼ながらこの著者にはこの手の本は無理なのではと思いました。力量不足、前もちょこっと触れましたが、紀田順一郎氏ぐらいでないと・・・。
と、書痴(しょち=本好きの痴れ者)にもなる資格も無いほど、低レベルの古書好きの私は今日も止せばいいのに、古書道楽。とは言いつつ、所用が終わり次第、古書店をハシゴしたんですが・・・。
いやあ~なかなかに凄い、というか壮絶な古書店を発見! 実は大昔も来たことあったんですが、ずっと忘れていました。今回、久しぶりに行くと、そこいらの軟弱な図書館には及びも突かない本、本、本の山。棚? っていうか、マジ遭難しかかったような・・・。散々、そこで格闘しながら、まさに宝の山で宝探しをやっていたのですが。一通り格闘して、店員さんの前に本の塊を渡すと、脇に二階への階段が・・・。
ハードカバーが少ないなあ~とは思ったんですが、隠し部屋発見! いや、隠してはないんですが、照明切ってあって店員さんに声かけないと入れないらしいことが張り紙に。勿論、速攻で声かけて禁書書庫(違うって!)に侵入。まあ、そんなにお宝ではないまでも本がたっぷり眠ってました。埃もすごくて体には悪そうでしたが・・・。珍しそうな本も何冊がGET!
この本屋だけでもだいぶ買ったんですが、別のとこにも行くとさすが郊外。神田や早稲田とかと違い、値段は安いね~。さっきのとこと合わせて20冊以上買ったかな?気持ちは天国にも昇るようですが、足取りはまさにPassion。そう、イエス様の十字架へ道のりのごとく、まさに「受難」ってな感じで苦しみながら、駅まで歩いたのでした。ふう~。家に帰ると、またおととい買った本が届いてるし・・・。あ~本の置き場が無い! 本当に机の上まで本で埋まり始めた。でも、でも今って高田馬場と池袋で古書市やってるんだよね。どうしようかな?行ったらきっと何か買ってしまいそう・・・。行かないほうがいいけど、掘り出し物があったら・・・。それとは別に骨董市も行きたいんだけど・・・??? 救われない魂だこと。
関連ブログ
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演 紀田順一郎氏に触れています
古書法楽(amazonリンク)
この作者の本は、読んだことがないので判断できませんが、僕でしたらこの本は買わないと思います。(笑)ところで、「初会」「裏を返す」はわかりますが、「お茶引き」とは、「御茶挽き」のことですか?今でもこれらの言葉が使われているとは思いませんでした。
ご存じかもしれませんが、吉原を舞台にした時代小説では、隆慶一郎『吉原御免状』が面白いです。網野善彦の説を上手く使っています。
「御茶挽き」はたぶんそれだと思います。すみません、字を怪しいまま書いてしまいました。
えっと広辞苑でひくと「遊女や芸妓が客がなくてひまなこと。また、はやらない遊女や芸妓。」と書かれてました。しかし、lapisさんよくご存知でその理由は追求致しませんが・・・(笑)。
冗談はさておき、今も生きてる言葉みたいです。いくつかの雑誌と本で、そういった言葉を現代の記事中で使われていました。今ではやや隠語的な意味合いで使われているのかもしれませんが・・・。なかなか興味深いです。
隆慶一郎『吉原御免状』。手にとったことはあるのですが、未読だったりします。今度目にしたら、ちょっと注意して見てみます。情報有り難うございました。岡本綺堂氏のも興味深い小説で江戸を舞台にしてますが、あの辺りも手薄なんですよ~。あわせていろいろ読んでみたいとは思っているのですが・・・。