
いかにも古書好きのマニア向けのビブリオフィル叢書の中の一冊。
図書館の職員を長年続けたイギリス人の図書館にまつわるエッセイ。
図書館で供される書物のうち、大衆の知識や教養の向上に資するものではないものとして低俗な小説などがあげられているが、中身のないエッセイも同様に役に立たないような気がしてなりませんでした。
本書も当然のそのエッセイの一つに含まれるかと。
図書館に限らず、どこでもあるような話をダラダラとまさに中身の無いエッセイとして書き綴っています。
一見すると同じようなエッセイに分類させるかと思われる『書物への愛』『書物の敵』などと比べると、雲泥の差かと。あちらは、読んでいて大いなる共感と驚愕、大いなる示唆に富んだものでしたが、本書レベルではねぇ~。
何も得られるものなどないかと。
日々の日常の自分の仕事からの方がはるかに、人間社会や人間個々人への洞察力は磨かれるように思います。
それなりに情熱を傾けてやっていらっしゃったのでしょうが、そんなの当たり前としか申し上げられません。その情熱に+αした何かが無ければ、読む価値はないかと。
読書好き、本好き、どなたにもお薦めするだけの価値を見出せません。
古書としても誰からも需要が無いのもむべなるかなと・・・・。
【目次】書物の世界の三十三年間の冒険 (ビブリオフィル叢書)(amazonリンク)
1章 最初の図書館長とそれ以後
2章 図書館とその利用者
3章 図書館利用者の奇行、その他
4章 図書館員とその諸問題
5章 昇進にまつわる逸話
6章 副館長の気晴らし
7章 作品あれこれ
8章 読書室の学生、その他
9章 図書館員の宗教、その他
10章 記念すべき学生の勝利
11章 R.L.スティーヴンソンとオリヴァー・ゴールドスミス
12章 奇妙な書名と蔵書目録
13章 埃、寄増図書、そして幸運
14章 趣味としての製本、その他
解説・英国図書館断想
ブログ内関連記事
「書物への愛」リチャード・ド・ベリー 北洋社
「書物の狩人」ジョン・ヒル バートン 図書出版社