2007年03月28日

「The legend of the Golem」Ivana Pecháčková

golem.jpg

ゴーレムという名前だけは誰でも聞いたことがあるかもしれません。土塊から作られた人形で命令された通りに動くのですが、暴走して破壊を起こす危険から、魔法の呪文を削られて土塊に戻される、そうあのゴーレム伝説についての本です。

共産圏から脱してまだ数年目で、プラハに初めてマクドナルドが出来て人気だった頃に旅行してプラハ城のお土産物店で購入した本です。2000年にプラハで出版。後で読もうと思っていて、今まで読まない私もヒドイ奴ですがこないだ部屋を整理していて発掘したので頑張って読んでみました。

いやあ~童話っぽい世界を想像していたのですが、どうしてどうして、これがなかなか奥深い。英語だから読むスピードが遅いのですが、面白いので珍しく読了できました(エッヘン!)。

誰も読まないと思うのでサマリー書いちゃうと・・・。

【要約】
どっかの大学で哲学とカバラを学んでいた学生が主人公。頭も切れるし、イケメンなうえ、類稀な野心を持つこの青年が古書店で、ゴーレムに命を吹き込む呪文を書かれた写本を獲得することで話が始まります。

本の価値など知らない店主から、ただ同然でせしめたその写本の知識を元にゴーレム復活の野望を抱きます。あの伝説のゴーレムを操ることができれば、この世のものは全て俺様の物。俺が世界を獲ったるぜい~という訳です。

そこでゴーレムがかつていた場所であり、錬金術やゴーレム狂いの皇帝ルドルフ2世がいるプラハを目指します。金のない学生の為、たまたま旅の途中に宿屋で知り合った旅の一座と同行し、彼は役者を演じながらプラハへと辿り着きました。

彼はとあるルートで仕入れた皇帝への紹介状を持って、ゴーレム復活企画を売り込みますが、宮廷の職員に却下されてしまうのです。「既にゴーレムは見つかって、世界中から集められた錬金術師がいよいよ復活させるところだから、タイミングが遅過ぎだよと。」

さて諦めきれない青年は再度プラハ城に赴き、再交渉。どうやら、錬金術師達も復活に失敗したらしく、青年に試させるチャンスが与えられるのです。しかし、あえなく失敗!ゴーレムは動かず、青年はその責任を取らされて切り刻まれてしまうのです。

幸運なことに、彼は元ユダヤ教徒の現クリスチャンに助けられて九死に一生を得ます。そこで傷を癒すうちに、彼が寝言で言ったカバラの呪文をきっかけに、実は先ほどのゴーレムが偽物であったことが分かります。偽物だから、呪文は効かなくたって当然ということでした。

彼は旅の一座の安否が気になり、まずはそこに戻りました。しかし、既に役者を続ける気のない彼を置いて、一座は旅立って行きました。後に残ったのは彼を愛する少女だけでした。

彼は少女を連れて、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)へ忍び込んでかつてゴーレムだったものを発見します。今度は見事に呪文が成功してゴーレムが生き返るのですが、何故かゴーレムは彼の言うことを聞かず、どんどんと大きくなっていくのです。彼はどうにか、ゴレームから呪文を奪って、元の土塊に戻すのですが、彼自身もその過程で死んでしまうのです。

本来、ユダヤ人達を外部の敵から守る純粋な心によって初めて動くゴーレムを自らの野心の為に利用した為に生じた悲劇ということでした。
まあ、細かいところは、はしょっていますが、面白そうだと思うでしょう♪ ゴーレムについて詳しい話を知らなかったので余計に面白かったです。

プラハに行かれた時には是非この本もお薦めです。日本語版はなかったので、英語版が無難かも? そこそこ読み易いです。

ゴーレムのいるシナゴーグ

シナゴーグの入口にあるソロモンの紋章

余談:
しかし、錬金術師と稀稿本とくると、必ずプラハが出てくるよね。どんなに怪しい街なんだって、確かに怪しいけど、深夜徘徊しても治安はすごく良かったけどなあ~。ちなみに・・・上の写真は実際にゴーレムが隠されたいたシナゴーグと言われているところです。勿論、実在しています。私は本書の主人公のように深夜に忍び込むような勇気はありませんでしたが。

で、もう一つはあの有名なシナゴーグの入口にあるソロモンの紋章(ダビデの星)です。

amazonでの取り扱いはないようです。ISBN: 80-86283-02-X
参考までにここにありましたが、チェコ語かな? 

【追加】
これ覚えておかないと、ゴーレム作れなくなっちゃうからね(笑)。

ゴーレムに生命を吹き込む呪文:JHWH ELOHIM EMETH
(聖書の創世記から)

ゴーレムから生命を奪う呪文:JHWH ELOHIM METH

関連ブログ
魔女と錬金術師の街、プラハ
「THE GOLD 2004年3月号」JCB会員誌~プラハ迷宮都市伝説~
「バーティミアスII ゴーレムの眼」理論社
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房
posted by alice-room at 01:39| 埼玉 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお、いきましたよ、新旧シナゴーグ。
お土産やのゴーレムちゃんたちかわいくて買っちゃいました。
あと絵本も日本語のあったので。
要約ありがとうございます~。
なんといってもアルファベット文盲なもんで。(笑)
やっぱりプラハいいですよね~~!
Posted by OZ at 2007年03月28日 18:25
日本語の本、あったんですかあ~。おおっと!私見落としていたかもしれません? 日本語のがあるなら、そちらも良かったなあ。

私も勿論、ゴーレム人形買いましたよ~(笑顔)。何故か、重いのに首からかけるペンダントみたいになっていたやつ。無骨っぽくて、いいですよねぇ~♪ プラハいいですよねぇ~♪ また行きたいです。

 
Posted by alice-room at 2007年03月29日 19:10
グスタフ・マイリンク『ゴーレム』っていう本もあるみたいですが、こちらは読まれましたか?
やっぱりプラハのゴーレムなのでしょうか。
今度図書館で借りてこようと思っています。
Posted by 大阪のマリア at 2007年04月01日 08:05
>グスタフ・マイリンク『ゴーレム』っていう本もあるみたいですが、こちらは読まれましたか?

そちらはまだ読んだことないです。どんな内容か、興味を持ったんでネットで調べてみました。プラハの作家さんみたいです。
http://home.att.ne.jp/star/moshiki/gorem.htm

面白かったら、後で教えて下さいませ。ちょっと私も関心があります。
Posted by alice-room at 2007年04月01日 19:22
グスタフ・マイリンクのゴーレム。。。。
1920年くらいのドイツ映画にあります。
マイリングの原作を元にして作られた映画。面白かったですよ。個人的には。。。
Posted by Seedsbook at 2007年04月02日 00:43
Seedsbookさん、そうなんですか映画があるんですね。うわあ~見てみたいなあ~。ちょっとそそられますね。情報有り難うございます。
Posted by alice-room at 2007年04月02日 18:05
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