2005年05月18日

「イエスを愛した女―聖書外典・マグダラのマリア」光文社

まず最初に著者は、あくまでも聖書に則った立場で可能な限り歴史的に忠実に数々の場面を再構成したいと主張し、その為には進んで独自の推測も加えてこの本を書くと言っています。それを最初の章で延々と述べているのはうざいですが、著者の誠実さが見えていいかも。但し、私が読んだ感想では、実際のところ、よく調べた小説の域を出ません。歴史的にどうのこうの言ってますが、勝手な著者のフィクションであることは否めません。それがこの本のスタートラインです。

次に、内容ですが、聖書という枠にはかなり忠実だと思います。逸脱してないと思います。でも、この本を読むよりは聖書を読んだ方がはるかにマシ。正直言って非常につまらない。驚くほど、つまらないんですよ。これが!何度も読んでて本当に寝てしまったもの。英語の本を読んでてもこれだけ眠くなるものはないです。こちらの勝ち。トンデモ本の方が面白いだけ、意味があるかも?

加えて、読んでも知識は一切増えません。つまらなかったし、感動も驚きも何もないです。私の個人的な感想で言うと、端的に言って時間の無駄。よくこんな本をわざわざ翻訳してるなあ~と呆れるばかり。買って読んだら後悔します。実際、後悔してるし・・・(涙)。買いたい人がいれば売りますよ、私が。(コメントにでも本買うぞ!って書いて…笑)

更に悪口になってしまいますが、タイトルにマグダラのマリアとか入れてるくせに全然、マグダラのマリアに関係ないんだもん。普通にどこの本にでも書かれているレベルの内容です。いちいちタイトルに入れないで欲しい。JAROかなんかにクレームつけたいくらい。あ~買ってもったいなかった…。

最近、当りの本がないなあ~。山積みになっている本の中にいいのはあるかな?ラッツィンガー氏の本でも読もうか、それとも吉原の本から読むか?どちらも興味はあるんだけど・・・。

あっ、最後の章にマリアを巡る伝承・資料がありましたが、ここだけは有益かも?メモメモ
○「黄金伝説」―既にこのブログで訳出済み
○1265年にエックス・アン・プロヴァンスにあるサン・マクシマン教会の地下納骨堂でマグダラのマリアの遺骨が見つかっている
○マグダラと共に海を渡ってきた女性達はそのまま海岸地帯にとどまり、遺物が15世紀に発掘されると、小さな町は彼女達の名前にちなんでレ・サント・マリー・ド・ラ・メール(海の聖マリアたち)と命名された。いまでも毎年その遺骨が行列に担ぎ出せれて町の中を練り歩く
○マインツのラバヌス・マウルス大司教(776-856年)による「マグダラのマリアの生涯」
○「フィリポによる福音書」グノーシス派の聖書外典で有名なもの。
○「救い主の対話」これもグノーシス派のもの、後で調べてみようっと
○「ビフィティス・ソフィア」グノーシス派のもので、聞いたことあるけど、詳しいこと不明?

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関連ブログ
マグダラのマリア 黄金伝説より直訳
「図説 ロマネスクの教会堂」河出書房新社
「マグダラのマリア」 岡田温司 中公新書
「マグダラのマリア―マリア・ワルトルタの著作による」あかし書房
「マグダラとヨハネのミステリー」三交社 感想1
「イエスのミステリー」バーバラ・シィーリング著 感想1
美の巨人たち ラ・トゥール『常夜灯のあるマグダラのマリア』
posted by alice-room at 00:56| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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