2007年03月29日

「零崎双識の人間試験」西尾維新 講談社

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戯言シリーズの番外編というのでしょうか? 本編の登場人物が出てきて本編とは異なるストーリーを語るものです。戯言シリーズを全編読まなくてもいいと思いますが、ある程度読んで本編が分かってから読むことを強くお薦めします!! 

時系列的には、「ヒトクイマジカル」を読んでから読むべきだったかな? 私の場合は、「クビツリハイスクール」までだったけど、なんとかなった感じです。

さて、あまり粗筋を書くとつまらなくなるので簡単に書くと殺人鬼の一族の家族愛(?)を描いた作品・・・??? この場合の家族は、血族関係ではなく、あくまでもその存在が有する性質としての「殺人」属性とでもいうものを持つ者達が後天的に集まったもの。殺人は生きることと同義。

読み始めは、どうも作品のノリに乗れないんだけど(西尾氏の作品だとしばしばあるのだけど・・・)、読んでいくうちに思いっきりノリノリの自分に気付いてしまう作品。

昨日まで、というか正当防衛的に殺人を犯すその瞬間まで、全く普通であった17歳女子高生の伊織ちゃんが、あっというまに変貌して立派な○○○になってしまうのが素敵♪ (→あっ、私毒されてる?)

とにかく『殺人』がかくも即物的なものとされてしまうのには、驚愕を通り越して、それ『常識』?とか思ってしまいそうで怖いっス!

このある種の寂寞感漂う、でも個人主義的感性って現代の若い人が思いっきり共感しそうです、ホント。若くない私も思いっきり共感しちゃってますけど・・・ネ。それでいて、相手との距離を保ちつつも、独特の濃密な連帯感つ~のもまたありそうでなんとも堪らない描き方されてます。

戦闘部分は、一部グロくて私は嫌いな部分もありますが、本書全体として面白いと思います。実際に戦っている部分は、あくまでも当事者の精神が表出した一部に過ぎず、その精神の畸形が堪らなく、興味深いです。病んでる方、お薦めしますよ~(笑)。

ただ、本書裏表紙のコピーにある「新青春エンタの最前線~」って意味が不明??? いつも思うけど、どこがエンタテイメント? どこが青春なのだろう?

思いっきり、違和感っていうか、感性のズレを感じてならないんですけど・・・。私的に一番面白いのは、何をどう感じるか、その精神構造に他ならないんだけどなあ~。編集担当者が知り合いだったら、小一時間問い詰めたい気分。

そうそう、本書にはおまけにCD-ROMがついている。それはいいのだが、そのせいかな?値段が高い。こんなもん、特定のサイトから購入者のみにパスワード与えてダウンロードさせりゃあいいじゃん。わざわざ値段を高くしないで、その辺考えればいいとおもうのだけれど・・・。講談社さんには、もうちょっと考えて欲しいなあ。

西尾氏ファンから、人気に乗ってぼったくらずにいきなり文庫で長く稼いで欲しいなあ~。

零崎双識の人間試験(amazonリンク)

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posted by alice-room at 23:50| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 西尾維新】 | 更新情報をチェックする
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