2007年03月30日

「ピンク映画館の灯」高瀬進 自由國民社

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いわゆる成人映画(ピンク映画)を上映する映画館に着目し、歴史の流れの中で静かに過ぎ去り行く過去を回想するエッセイ物。

オマージュといえば、確かにそうなのだけど、私的には思い入れの淡白さがいささか興醒めでもある。どうせと言ったら、失礼かもしれないが、元々がサブカルチャー的で「濃ゆい」系であるのならば、もっと突っ込んだ思い込みで語ってくれた方が面白いと思った。

今は無くなりつつあり、どことはなく郷愁と哀愁と独特のいかがわしさと猥雑さがミックスしたようなピンク映画の映画館を語るにしては、施設としての年代物の映画館そのものや、くせのある(=社会的に問題のある?)映画監督達や作品そのものをもっとピックアップして語っても良かったように思う。あまりにも健全過ぎて、NHK新日本紀行かいって、つっこみたくなる。そんなもんじゃないでしょうに・・・。

ただ、味わいのある映画館の写真自体はとっても良い!! こういうの好き。ちょっと前にも今は無き遊郭跡を巡った本を読んだけど、そういう独特の寂れた感覚が堪らなくスキ!! 今度、自分でもやろうかな? 元遊郭跡巡りとか。建物自体が独特で、飾りの意匠などもずいぶんと凝っているから、面白そう。

本書の場合は、文章はつまらないが、写真だけを目当てに読んでも良いかと思う。そういえば、私が初めてこの手の映画館に入ったのは、高一の時だったなあ~。学校さぼって雨の日にふと思いついて入った時は、ずいぶんとドキドキしたものだが観客が2,3
人しかいなかったのにも驚いたものだった。更に、そこで見た映画は確かに女性の裸が出ていたのだが、そのストーリーが異様に重いうえに屈折していて、裸よりもストーリーに圧倒され、なんとも言えない戦慄を感じた覚えがある。

後になって知るのだが、当時のピンク映画の監督や助監督には、学生運動で失敗した左翼崩れなどの精神的に屈折した方達がかなりいたそうで、人間の精神をえぐるような作品が結構あったそうです。

まあ、そんなことなど本書では触れられることもなく、俗にいう『ハッテンバ』のこともあまり語られていない。まあ、いいんだけどさ。俗なものは、もっと徹底して俗であって欲しい、などと夢見てしまう私なのでした。

さて、別なサブカル系の本を読もうかな? これ読んだらいささか欲求不満になったりする。

ちなみに本書で紹介されている映画館のうち、4つくらいは私も外観を見たことがある。それらで実際に入ったことはないのだけれどね。

【目次】
はじめに
首里劇場(沖縄県那覇市)
飯田橋くらら劇場(東京都新宿区)
上野オークラ(東京都台東区)
神田アカデミー(東京都千代田区)
新宿昭和館地下(東京都新宿区)
横須賀金星劇場(神奈川県横須賀市)
シネロマン池袋(東京都豊島区)
新橋ロマン(東京都港区)
中村映劇(愛知県名古屋市)
千日前国際地下劇場(大阪市南区)
小阪座(大阪府東大阪市)
福原国際東映(兵庫県神戸市)
十三ロマン(大阪市淀川区)
尼崎パレス(兵庫県尼崎市)
新世界日活劇場(大阪市浪速区)
京橋アカデミー劇場(大阪市都島区)
千本日活(京都市上京区)
シネフレンズ西陣(京都市上京区)
[グラフ]ある日の成人映画館
金沢駅前シネマ(石川県金沢市)
福岡オークラ(福岡市博多区)
東北映画館事情
浅草世界館(東京都台東区)
〔想い出の映画館〕地球座地下、新宿名画座(東京都新宿区)
〔想い出の映画館〕観光文化ホール(東京都中央区)
〔想い出の映画館〕亀有名画座(東京都葛飾区)
シネマハウス新映(静岡県浜松市)
<女優インタビュー>佐々木麻由子
<女優インタビュー>さとう樹菜子
オンナから見た『ピンク映画』とその周辺(山瀬よいこ・文)
あとがき・資料

ピンク映画館の灯―暗闇が恋しい都市の隠れ家(amazonリンク)


ラベル:書評
posted by alice-room at 20:18| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
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