説明不要でしょう、いわずと知れた法王ラッツィンガー氏が1970年前後に書かれた本の翻訳です。単なる好奇心から購入したのですが・・・。想像通り、難しいというか私には無関係というか、失敗したような・・・。
当時の時代背景もあると思うんです。カトリックが近代以降の理性万能主義というか科学万能主義的な状況下、いかに社会の求める価値観と宗教が整合性をとっていくのか、非常に切実な問題だったはずですし。これにも少々触れられていますが共産主義がまだ精気をみなぎらせて虎視眈々と世界を狙っていたわけですし。
社会が考える科学的推測に基づく可能性を求めていく「未来」とは異なる、不確定性を所与とした中で別次元の価値観である「信じる」ことによって確固たる存在として現れてくる「未来」。う~ん、私の理解力の問題と表現力の問題でうまく言えませんが、そういったものを神学者としての立場から述べた本と言えるのではないでしょうか。
現実社会と宗教とがどうやって折り合いをつけていくのか、混沌とした時代の中で模索していく方向性を打ち出そうとしているようにも思いました。いかんせん、私には宗教は頭で考えるよりも気持ちで自然と湧き上がってくるものだと思いますので、ずいぶんと困難な道を進まれてるなあ~と思いました。その後も教理聖省を経て法王になられた方ですので、改めていろいろと信仰と現実社会の狭間で日々生きてこられたのかなあ~とも思いました。
ただ、私のような人には興味深いとはいいがたい本でした。ある程度の信仰を持ったうえで、日々の生き方に悩みがある人にはいいのかもしれません。読み手を選ぶ本です。想像通り、特殊な部類でした。ただ、読めば一応、分かるだけいいかも? 今度、「典礼について」を読む予定ですが、いささか憂鬱気味。途中で断念しそう・・・。まあ、そういう時もあるでしょう。
関連ブログ
「典礼の精神」ヨセフ・ラッツィンガー サンパウロ
新教皇ベネディクト16世(ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿)略歴
2005年05月18日
この記事へのトラックバック
彼の説教の構成、または表現の仕方はわかりやすく”うまい”のだそうです。今までは教理を守る立場でしたが、これからは羊を導く役割なので、どのように対応してゆくのか、ドイツではカトリックもカトリック以外も皆興味深深です。
その本は難しそうですね。。。The Trial. The Life and Inevitable Crucifixion of Jesus. Gorden Thomasを読んだことありますか?私はまだなんですが、今本棚整理していたら、出てきました。だいぶ前に買っ手、忘れていました。。。
この本は、非常に分かり易く書かれていました。表面上は。但し、内容はやはりそういった事柄に真剣に取り組まれた方じゃないとピンとこないような気がします。おっしゃられるように、教養あふれる知識人といった感じがします。勿論、単なる知識だけの方ではないでしょうけど。今後の行動が本当に注目されている方ですね!
seedsbookさんお持ちの本、タイトルは見たことありますが、読んだことはありません。たぶん、日本語訳なかったはずですし、宗教関係の本を英語で読むのは、私の語学力(というより宗教知識)では辛いかなあ~っと。小説ぐらいなら、読み飛ばせますが、しっかりと読み進めていくことが必要な本だと外国語は難しいですね。用語を調べてもその意味が明確に理解できないので。経済学なんかだとその点は楽なんですが、いざとなれば数式で済ませちゃいますし…(笑)。でも、その本も興味ありますね。
英語で「キリスト教入門」という本が確かラッツィンガー氏の著作であり、これは読んでみようかと思案中なんですが、なにげに難しそうで躊躇しています。本当に入門だといいのですけどね。