2013年08月31日

「中世の森の中で」木村 尚三郎、堀越 孝一、渡辺 昌美、堀米 庸三 河出書房新社

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小さい文庫本だが、実に内容は盛りだくさんであり、名の通った研究者が書いているだけあってその内容水準も高いと思います。そこら辺にある、内容がない駄目な駄目な自称専門家さんの書かれた専門書よりも一般書である本書の方が実は良かったりします!

新装版のあとがきに書かれていますが、本書は近年脚光を浴びるようになった「生活史」の観点から、中世の歴史を描かれており、民衆の心情や社会情勢、制度、さらに民衆にとどまらず、多様な人々の生活感覚をも含めた多角的視点が解説されています。

これらが実に興味深いです。

また、それらの視点を踏まえて中世史を眺めることで中世のあのかくも壮麗で理性的なゴシック建築や、独特の表現形式とその美に心奪われる装飾写本なども、まさに腑に落ちる、となることでしょう。

そうそう本書を読む事で、過去に読んだ数々の本の内容への理解が一層深まった、これも本書の有益の点でしょう。「ハーメルンの笛吹き男」の東方植民や「中世の秋」のブルゴーニュ地方の姿、黒死病に「死の舞踏」。聖遺物に写本、大学等々。

本書を読む事で、記憶に残っている断片的な知識が新しい相関性を得て結び付き、有機的に再構成されていくのを強く感じます。益々、中世というこの時代に魅了されると共にその歴史的断片が残る中世都市(ブリュージュ等)への期待感が増していきます。

10月行くのが楽しみですねぇ~。
観光客も減り、クリスマス・シーズンまでもまだ時間のあるタイミングですし、「死都ブリュージュ」を体感できることでしょう♪ インキュナブラもプランタンできっと見られるでしょうしね(笑顔)。楽しみです。
【目次】
プロローグ 自然と時間の観念
市民の一日、農民の一年
攻撃と防御の構造
城をめぐる生活
神の掟と現世の掟
正統と異端の接線
「知」の王国
エピローグ パリ一市民の日記
生活の世界歴史〈6〉中世の森の中で (河出文庫)(amazonリンク)
ラベル:書評 中世 歴史
posted by alice-room at 08:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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