
最近は少なくなってきた日常系のとりとめもない話を軽やかにまとめた推理物(もどき?)
いわゆる『本格』物ではありませんが、主人公が読書好きの人見知りするタイプの美女ってのは、まあお約束ですが、そのお約束を逸脱しないのが昨今では絶滅危惧種なだけに売れたのかもしれないですね。
実際、読後感は悪くないです。
ただ・・・本についても専門的な知識?とか言われて出てくるのは、お粗末とは言わないものの、まあ、及第点には達していないのかなあ~と感じてしまう。
その辺が読んでいて、かなり違和感というかひっかかりを覚えてしまうのが残念です。
もうちょい、本についての造詣の深い、博識で知的な女性だと魅力がもっと&もっと増すのですが、単なる本好きの初級者レベルだったりするのが、なんとも残念だったりする。
部屋に篭って本、読んでるだけでいい時代じゃないでしょ。
今、中世ヨーロッパのブックハンターの本も併読してるんだけれど、そちらと比べると大人と子供。
命賭けてるプロと幼稚園児ぐらいの差を感じてしまう・・・・。
対象読者者層が本当の本好きで本を読む人じゃないのだから、しかたないのでしょうが、なんとも残念な感じはぬぐえません。
本に命を賭けろとは言いませんが、家の床が抜けることを心配し、地震のたびに家潰れてないかな?
本の山、崩れてないかな?って心配は、当たり前過ぎるほど、当たり前だと思うのだけれど・・・・。
本書にはビブリオマニアも出てこなければ、書痴も出てきません。
平和な日常系・お茶の間系の小説だからこそ、まあ、売れたのでしょう。
あえて読むのをお薦めするほどではありませんが、読んでてつまらないほどでもありません。
北鎌倉にいい古書店がある、な~んて発想は、古書店をよく廻る人が思いつくわけないしね。
古書店は、地元に密着してるが故にその土地の住民の文化度レベルを如実に反映し、歴史と共に城下町等一定程度の人口がないといけないとかハードル高かったりする。
旅行ついでにあちこちの古書店巡りをする人なら、わかってもらえると思うだけれど、鎌倉は文人多くても微妙に違う土地だと思うんだよねぇ~。
生意気言っちゃうと、私自身でも主人公に勝てそうな気がしてならない(笑)。
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)(amazonリンク)