2007年04月12日

「ギュスターヴ・モロー」ギュスターヴ・モロー 八坂書房

morou0412.jpg

おおっと!これほどまでのものとは思いませんでした。か・な・り・オキニです、コレ!!

モロー自身が残した作品に関する説明を翻訳したもので、こういう内容の本だとは全然知りませんでした。うっ、危うく大切なものを見逃すところでした。これはなかなか貴重だと思います。モローファンなら、絶対に押さえておくべきマストアイテムかと。

モローの作品の図版と共に、モロー自身の言葉による作品の説明があるのってもう素晴らし過ぎです♪ カラー図版が多いのもポイント高し。更に、翻訳者による説明も過剰になり過ぎず、いい感じかと。

私も大・大・大好きであちこちで見たし、外国の旅行先でもモロー作品があることを知っていれば、ほとんど必ず見るようにしてきました。その為、ここで紹介されているかなりのものは実物で見たことのある作品も多く、一人で大いに喜んで巻末の掲載図版一覧で所蔵場所をチェックしながら、喜色満面で眺めておりました。

やっぱりモローはイイね♪ お金に余裕ができたら是非ともレゾネでも買いたいもんです。今は展覧会で購入した「出現」のポスターで我慢&我慢。

庭園のサロメ

本書を見ていた気付いたのですが、大好きなサロメ作品の一つに「庭園のサロメ」(個人蔵、上図)というのを見つけました。この作品は初めて知りました。こんなサロメもありなんですね。嬉しくなってしまいますね、ホント。

「ヘロデ王の前で踊るサロメ」

それ以外にもLAのアーマンド・ハマー美術館蔵という「ヘロデ王の前で踊るサロメ」。見慣れたサロメと細かいところで違っていて、これも見たことないので是非&是非見たいサロメです。

サロメに関するモローの説明を以下、引用してみます。
サロメ、それは永遠に女性的なるものの象徴である。軽やかに飛ぶ鳥だが多くの場合、それは不幸を告げ知らせる鳥だ。
彼女は花を掲げ持ち、漠然とながらも、たいていは不吉な理想を求めている。

 天才も聖人さえも足下に踏みつけにしつつ、彼女は歩む。彼女は舞うその神秘的な歩みは、死を目前に成し遂げられる。死は振り下ろされる剣を手にした死刑執行人の前で恍惚としつつも用心深いサロメの姿を絶えず窺っている。

 この女はいかがわしい好奇心から、名も無き理想と官能を追い求める者達に残された、その恐るべき未来像の象徴だ。首を切り落とされた聖人はまさに花々を敷き詰められた彼の輝かしい人生の終着点にいる。

 すべては神聖な至聖所の中で行われる。そこは精神が厳粛なるものに、崇高なるもの観念に捧げられる場所なのだ。
こんな感じでたくさんのモローの言葉による説明があるのです。モローが自らが癌であることを知ってから述べた言葉も載せられていますが、それは本書を読んで味わってみることをお薦めします。

そうそう知らなかったけど、国内にもモロー作品ってあるんですね。本書で紹介されていたのをメモ。

国立西洋美術館
 ・牢獄のサロメ 1873-76年頃
 ・ピエタ 1876年ごろ 
 ・聖チェチリア 1885-90年頃
岐阜県美術館
 ・ピエタ 1856年
 ・聖セバスティアヌスと天使 1876年 
横浜美術館
 ・岩の上の女神 1892年頃
大原美術館
 ・雅歌 1893年
ブリジストン美術館
 ・化粧 1885-90年頃
メナード美術館
 ・サロメの舞踏 1876年

この本では紹介されてないけど、西洋美術館にある「聖なる象」もモローの作品だったはず。滅多に展示されないけどね。あれは。国内で見たことのない作品も是非、見に行きたくなりました(笑顔)。
【目次】
1850-1863 独自のスタイルを求めて
1864-1875 サロンでの成功
1876-1883 サロメの画家
1884-1898 最愛の母と恋人の死

ギュスターヴ・モロー略年譜
主な参考文献
掲載図版一覧
モロー作品を所蔵する国内の主な美術館
ギュスターヴ・モロー―自作を語る画文集夢を集める人(amazonリンク)

関連ブログ
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聖チェチリア(モローの画像有り)
オルセー美術館展~東京都美術館(2月3日)
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ラベル:アート 書評
posted by alice-room at 15:42| 埼玉 ☁| Comment(6) | TrackBack(1) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。
持ってません…。か、買います…!(断言)

大原美術館の「雅歌」は、14年前に倉敷に行ったときに見ました。扱いが地味で(さりげないところに展示されていた)、一瞬通り過ぎそうになった記憶があります。
美しい青色が印象的な作品でした。
Posted by Fu Shusei at 2007年04月12日 19:40
Fu Shuseiさん、是非&是非。私も図書館で最初読んだのですが、すぐ購入を決定しちゃいました(笑顔)。

大原美術館は、残念ながら一度も行ったことないんです。結構素敵な作品があるのは知っていながら、機会が無いままにズルズルと。やっぱり、行っとくべきですよね。う~、見たい!!
Posted by alice-room at 2007年04月12日 22:20
alice-roomさん、こんばんは
TBありがとうございました。
>モローファンなら、絶対に押さえておくべきマストアイテムかと。
まったく同感です。これはモロファンにとっては堪らない本ですね。
大原美術館は、僕も行ったことがありませんので、機会があったらモロー詣に行きたいと思っています。
いつも思うだけで終わってしまいますが。(苦笑)
Posted by lapis at 2007年04月12日 23:12
>いつも思うだけで終わってしまいますが。(苦笑)
なかなか機会がないとそうなってしまいがちですよね。私もそういうばかりです。
行きたいと思ったうちのごく一部だけ、突発的&衝動的に行動することがあるぐらいですね、ホント。でも、何かの機会を強引に見つけて、一度くらいは行きたいですねぇ~。
Posted by alice-room at 2007年04月13日 19:09
本日ついに入手しました!
初めて目にする作品もあり、今、かなりの興奮状態です^^;今夜コーヒーでも飲みながら、じっくり堪能したいと思います。
良い本をご紹介いただき、本当に有難うございました!
大原美術館は、モローの他にもエル・グレコのドラマティックな「受胎告知」等もありますし、街自体も風情がありますので、大変おすすめです。
Posted by Fu Shusei at 2007年04月20日 18:16
喜んで頂いて何よりです。やっぱりいい本ですよね。是非&是非、楽しんでくださいませ(笑顔)。

実はさっきブログにも書いたのですが、今日埼玉県立近代美術館の澁澤展で、またまたモローを見てしまいました(満面の笑み)。群馬県立近代美術館の作品ですが、なかなか見に行けないと思っていたので本当に嬉しかったです。
また、モロー作品のエッチングですが、これがまたなかなか繊細な仕上がりでこれはこれとして決行満足のいく作品でした。本当についていました♪ もし、Fu Shuseiさんも機会がございましたら、是非どうぞ。ちょっと不便な場所にあるのが問題ですけど。

大原美術館、とっても楽しみなのでなんとか機会を作って是非、行きたいです!!
Posted by alice-room at 2007年04月21日 00:58
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