「古本屋の来客簿」高橋輝次 燃焼社

本書は古書店主の方が書かれた文章を本にしたシリーズの一つになります。最近、しばしば目にするようになりましたが、古書という世界を通じて普段知ることのない業界の姿が窺えたり、『物』であるけれでも単なる『物』以上の思い入れが生じる書物を巡る人の生態などが面白く描かれています。

私個人としても、新刊よりも古書店での購入が多い身としては、ひとかたならぬ関心があり、掘り出し物を店主の目を掠めて安く買ってやろうなどと思っている以上、敵の手のうちを知りたいと思うのもやぶさかではない。

ただ、自分が欲しい本は古書店でもやっぱり相当な値段がついているんですけどね。こないだも気に入った洋書の値段を見たら18000円でいささかショックを受けたりもする。たった一冊の本なのに・・・。黄金伝説で痛い目にあってもいるし・・・色々な思いが頭をよぎったりする。

イギリスの古書を調べたら、同じくらいプレミアがついた価格だったから、あながちふっかけた値段ではないけど、それにしても・・・たった40年前の本なのにさあ~。カナダも結構高い。更にpaperbackとhardcoverがあり、1966年、1975年、2002年の版がある。装丁には革装のバージョンまであり、実に複雑怪奇な値段が乱舞していて、結局アメリカから直接古書で購入したけど、う~ん洋書の購入って判断が難しい。―――これは余談。

まあ、そんな経験があり、古書店主の手の内を想像しながら、読むのもまた面白いかも? 学者先生がよく利用する専門書店で、先生から貴重な情報を教えてもらうという話もよく聞く話で、本書にも載っているがなかなか素敵な話だと思います。

もっとも、本書は全般的にユルユル系のお話。古き良き時代のノスタルジックな余韻に浸って書かれています。修羅場の話が一個もないのは、ご時勢ゆえの癒し系エッセイ故か? いささか甘ちゃんのお話ですが、雑誌気分で軽く読むのに向いてそう。ただ、わざわざ買ってまで読みたいと思わないな、私は。

本書を定価で買う金で、大時代航海叢書とか買えるんだもん、古書ならば。迷わず私はそちらを買う。じゃなければ、ホイジンガの「中世の秋」、今日すっごい綺麗で500円で売ってた。同様の本が3冊買っておつりくるもん。

でも、決して悪くはない本です。私が利用しているお店もたくさん出てるし・・・ネ。
【目次】
1 古本屋気質とその仕事
2 お客の色々
3 文人・学者との交流
4 古本屋の暮しと思い
古本屋の来客簿―店主たちの人間観察(amazonリンク)

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「古書街を歩く」紀田順一郎  新潮社
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