2005年05月25日

「昭和美少年手帖」中村 圭子編 河出書房新社

ふう~、決算が終わったので一息ついて読書。

最近、ちらほら見かけるが、昭和初期の少年少女雑誌で一躍有名になった挿絵等を中心に美少年という切り口で綺麗なイラストを集めたもの。ヤオイ人気の萌芽が既に見られるというと、俗っぽ過ぎるが日本人ってこういうの大好きだからね! 勿論、私も美しければ性別を問わずスキ。

出てくるのは、高畠華宵、山口将吉郎、伊藤彦造、山川惣治、石原豪人等々。高畠華宵氏の場合は、単独で画集も出ているほど有名ですが、他の方もなかなかイイです。百聞は一見に如かず。幾つかイラスト載せましたので、良かったら見て下さいね。

img006.jpg

「少年剣士」

img007.jpg

「夕月」

img008.jpg

「木村長門守重成」

img009.jpg

「刺青」

他にも美少年に関しての考証もありますが、正直ありきたりで目新しい所はないです。この手の好きな人は何故かインテリが多いですから、私の知り合いでもっとウンチクたっぷり語ってくれる人がいますし…。ただ、全くの初心者が初めてこの類いの本を読むときには、それなりに役立つ入門書かもしれません。(文章はおまけレベル)

とにかくイラストを見て、楽しいか否か? それが全ての本です。私は楽しかったです。編集は弥生美術館で働いていらした方。あそこも小さいけど、雰囲気の好きな美術館だったなあ~。最近、御無沙汰だけど…。夢二のが多かったと思ったけど?

そうそう、たま~に誤解されている方がいますが、美少年好きは女性の嗜好ではありません。それでは単なる異性愛で美しくありません。日本では昔ながらの伝統がありますし、「衆道」とか。稚児も然り、江戸時代の若衆歌舞伎や陰間とかその手のは事欠かないですから。まあ、三島先生を例えに出すまでもありませんが…。確か、うちの本棚にも何冊かそれ関係の資料がありました。探す気力はありませんけど。

もっとも少年愛は、古典ギリシア時代で愛好されていましたし、ローマ帝国でも特に問題無かったはずですしね。同性愛を禁じたのは、キリスト教的価値観の押し付けでしかないように感じますね。人に迷惑さえかけなければ、私的には偏見はありませんが。
昭和美少年手帖(amazonリンク)
ラベル:美少年 昭和 書評
posted by alice-room at 04:06| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
美少年ラブなら,日本はどこの国にも負けませんよねえ。
室町時代の物語で『秋の夜の長物語』というのがありまして,絶世の美少年をめぐって,三井寺と比叡山が全面戦争になり,我が身が疎ましくなった美少年は琵琶湖へ入水する,という,なんともお耽美な物語が残っています。いいのか,坊さんがそんなことで?と思いますが。
源氏物語にも,ハッキリ書いてあるわけじゃないけど,明らかに美少年愛好趣味がでてきますし。
Posted by うりこ at 2005年05月25日 10:45
うりこさん、こんばんは。確かに日本は美少年好きなら、なかなかのものかもしれませんね。

美少年を巡っての争いですか…なんか面白そう。僧兵とかが大いに腕を振るいそうですね。お坊さんの少年愛好は、有名ですね。色子でしたっけ?そういうのを囲い者にしたり…。

お酒をハンニャトウと呼び変えて鮎はカミソリだったかな?何でも言葉さえ変えれば、いいんですし…。私もハンニャトウでも頂こうかな(笑)。


Posted by alice-room at 2005年05月25日 21:30
色子は江戸時代になってからの言葉だったかなあ。役者としてはまだ未熟で舞台に上げられない子に客の接待をさせたのが始まりだったかなあ。
こんなことにくわしくて自慢にならない。
Posted by うりこ at 2005年05月26日 11:46
ほんとにお詳しいですね。私は、断片的にしか知らないので尊敬しちゃいます。能ある鷹は爪を隠すで、宜しいのでは。教養はほらっ、自慢しなくとも、自ずからにじみ出るものですから。

でも、現代では教養があっても食っていけないのが辛いとこでしょうか…。
Posted by alice-room at 2005年05月26日 19:20
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック