
いとも耽美なる虚構世界を描き切る野阿梓氏の小説です。各短編は独立していて本書はそれをまとめた短編集みたいになっています。
いつもと比べると・・・今回はちょっと物足りない。あの非情で卑劣で卑怯な故に、耽美の極みとしか言えないような革命家もおらず、美し過ぎて毒のある美少年の切れもイマイチ。
ただ、タイトルにもなっている「少年サロメ」はそこそこいい感じ。設定はSFながらも、その実、まんま聖書に出てくるサロメの世界。ヨナカーンとサロメの関係も素敵に耽美に描かれていて、こういうのスキ! 著者お得意の陰謀なども盛りだくさん。まあ、著者のファンが惰性で買ってしまう本かな? ノーマルな方にお薦めしてまで読む本ではないなあ~。きっと。
【目次】少年サロメ(amazonリンク)
覇王の樹
砂路
孤悲
王国の真昼
少年サロメ
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「ソドムの林檎」 野阿梓 著 早川書房