2005年05月25日

「日本の奇跡 聖母マリア像の涙」安田貞治 エンデルレ書店

秋田で聖母マリア像から涙が流れ出した、という噂だけは私も知っていました。しかし、本があることは知りませんでした。正直、眉唾っぽいものではないかと偏見を持って読み始めたのですが…。

少なくとも、よくあるようないかがわしい変な本でもなく、勿論トンデモ本ではありませんでした。流れ出た涙が人の体液である旨の科学的鑑定結果や、司教からの報告書、聖痕を受けたシスター笹川の精神鑑定書等々、巻末に添付された資料も可能な限り客観的にあろうとしている姿勢も信頼感を覚えます。

私の主観でしかありませんが、本は真摯な姿勢で描かれていてそこに起こった現象が事実としてあったのではという気持ちになりました。勿論、事実としてそれらの現象があったとしても、それが奇跡によるものかどうかはその場でいたわけでもないし、そういったことを判断できるわけでもないので、未だに懐疑的ですけど。文中では疑い深いトマスという表現がありましたが、現代ではある程度止むを得ないのではないかとも思えます。

うっかり人を信じようものならば、身ぐるみ剥がされ、殺されることがありえますから。冗談ではなく、海外で旅行なんてしてると本当にあるし。国内でも怪しい信仰にはまって全財産を失った人はざらにいますしね。ただ、何が何でも科学で説明できないものはインチキという気もないですし、そういうことも有り得るでしょう。ただ、慎重に判断すべきだとは思いますが…。

否定する人も肯定する人も、一読の価値はある本だと思います。ここに書かれている事が事実かどうかはもっと他の資料や本で確かめないとうのみにはできませんが、週刊誌にだいぶかかれ、1980年前後だと思うのですがTV東京でも放映したそうです。その時の映像を見てみたいなあ~。いかんせん、TV東京だと信用性が落ちますが。でも、この本を出版してるのがエンデルレ書店なのは信用に足るかも。純然たるキリスト教系の出版社で怪しい変な本は出さない所だと思います。

内容としては、秋田にあるキリスト教系の小さな信仰共同体のシスターがある時、マリアを見て聖痕を受けて手に十字架の傷ができ、痛みと血を流すようになります。教会にあった像にも十字架の傷ができ、血を流します。その後もマリア様はシスターの前に頻繁に現れると共に、木彫りのマリア像の目から涙が流れるという現象が101回にわたって観察されます。

その間にも数々の奇跡が生じます。シスターが病弱で入院し、いよいよ危ないという時に病油の秘蹟を授けられると、突然、そんな知識などあるはずがないのにラテン語で主祈祷文、天使祝詞、使徒信教をはっきりと唱えたとか。ルルドの水を与えられると、病が快方に向かったとか。耳が不自由になった後、マリア様からそれが治ることを告知され、実際にその通りに治ったとか…。また、マリア像が安置されていた部屋が17日間、馥郁たる高貴な香りに包まれた後、3日間、悪臭とうじが生じたこと。他にも韓国からこの奇跡を聞いて訪れた人が急に全快したとか、たくさんあるそうです。

こう書いてしまうと、私もにわかには信じられませんし、本書の中で書かれているようにマリア様を観たシスターを中心にしたヒステリー症状説も首肯できそうだったりします。実際に人は思い込みだけで、一切の外傷を加えることなく、肉体に傷をつけることが可能らしいですし、幻覚や幻聴などは、特殊な環境に置かれることである程度任意にでも呼び起こすことが可能なのは既知の話ですしね(もっとも安易なのは、麻薬等の薬物の利用ですが)。

そういった話も含めて、これはこの本を読んだその人が判断するしかないですね。実際にこの現象についてはバチカンへ報告もなされていて、2回も調査団が組織されているそうです。2回目の時には、当時、教理聖省のトップにいらしたラッツィンガー氏(現法王)にもこの報告が届けられているそうです。

1回目の報告としては、奇跡の認定に否定的でマリア様を観たシスターが精神疾患且つ超能力者で、非科学的な現象を可能にしたとかいうそうですが、本当か?と疑いますね。それで2回目の調査団が生まれたわけで、精神鑑定上、一切の問題なしという診断書が巻末に添付されているのもそういった理由からのようです。

とにかく百聞は一見に如かず!ですが、見てみたいですね。今でも見れるのかな?後ほどネットで調べてみようっと。とりあえず、興味ある方は一読をお薦めします。既に英訳もあり、そちらが日本語よりも先に出版されていて本書は逆・出版になったそうです。

そうそう、このマリア様からの第3のお告げというものに「ファティマの予言」に近似したものがあります。内容故に、ファティマに便乗していてどうも胡散臭いと思われているそうですが、ここに引用しておきます。ファティマと比べてみて下さいね。
【本より引用】
前にも伝えたように、もし人々が悔い改めないならば、おん父は全人類の上に大いなる罰を下そうとしておられます。その時おん父は、大洪水よりも重い、いままでにない罰を下さるに違いありません。火が天から下り、その災いによって人類の多くの人々が死ぬでしょう。よい人も悪い人と共に、司祭も信者とともに死ぬでしょう。生き残った人々には死んだ人々を羨むほどの苦難があるでしょう。その時わたしたちに残る武器はロザリオと、おん子の残された印だけです。毎日ロザリオの祈りを唱えて下さい。ロザリオの祈りをもって、司教、司祭のために祈って下さい。

悪魔の働きが、教会の中にまで入り込み、カルジナルはカルジナルに、司教は司教に対立するでしょう。わたしを敬う司祭は、同僚から軽蔑され、攻撃されるでしょう。祭壇や教会が荒らされて、教会は妥協する者でいっぱいになり、悪魔の誘惑によって、多くの司祭、修道者がやめるでしょう。

特に悪魔は、おん父に捧げられた霊魂に働きかけております。たくさんの霊魂が失われることがわたしの悲しみです。これ以上罪が続くなら、もはや罪のゆるしはなくなるでしょう。

勇気をもって、あなたの長上に告げてください。あなたの長上は、祈りと償いの業に励まなければならないことを、一人ひとりに伝えて、熱心に祈ることを命じるでしょうから。
日本の奇跡 聖母マリア像の涙―秋田のメッセージ(amazonリンク)

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posted by alice-room at 20:17| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 宗教A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>マリア様からの第3のお告げというものに「ファティマの予言」に近似したものがあります

捉えようによっては、同じマリア様からの預言だから、内容が同じでも当然という、受け取り方もできますが・・
シスターについては、まあ彼女の内側、脳の異常なんでしょうけど、その脳の状態の変化にしても、マリア様ならダイレクトに電磁的な音声、画像映像データを送信して影響を与えたとしても不思議ではないとか・・

信じるも否定するも、こちら次第かな・・とは思いますね
これらの個別の鑑定結果より、私達の脳の仕組みの解明が、そういうことがありうるか、ありえないかの判定に不可欠と思います
Posted by 印南野きつね at 2005年05月26日 00:28
こんばんは。人間の脳ってまだまだ解明されていないところも多いようですし、人が分かることは限られているのかもしれませんね。

信仰に関しては、人それぞれの考えや立場があるのでなんとも言えませんが、個人的には信じられるものがある人は幸せなんだと思います。

それが宗教でなくても、金銭とか、権力とか世俗のモノであっても。価値観の喪失が現代の病いかもしれません。まあ、私の病いかもしれませんが…。

Posted by alice-room at 2005年05月26日 04:07
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