
イスラム教の聖典コーラン(本書では、より正確な名称として『クルアーン』と表記)の写本を採り上げ、その歴史と華麗な美の伝統を解説した本。
私はそもそもイスラム教をほとんど知らないので、初めて知ることも多いのですが、中でもキリスト教の写本に劣らず、イスラム教にも素晴らしく美しい写本の伝統があることを初めて知りました。
本書では写本のカラー図版が結構あり、見ていると実に美しい本なので思わずため息が出るほどです。宗教書って神の世界や言葉を表すものだから、最高のものが求められ、必然的に人を魅了するほどのものになるのでしょうか? 今、キリスト教の時祷書の本も平行して読んでいますが、これも実に綺麗だったりする。
写真だけでも見てみると、いい刺激になります。ただ、説明は私にはちょっと退屈。個人的には、写本の歴史よりもその美しい写本自体の説明にもっと紙面を割かれていたら嬉しかったかもしれない。コーランの写本というのは、とっても新鮮な驚きでした。どっかで本物のコーランの写本見てみたいなあ~。
余談:
あのいろいろな意味で傑出した思想家である大川周明氏がコーランの翻訳を出掛けていたとは、初めて知りました。なんか意外!
【目次】図説 コーランの世界 写本の歴史と美のすべて
序章 神の言葉は、いかにして下されたのか?
第1章 初期の写本たち―クーフィー体を中心に
第2章 書物の形成―モンゴル西征以降の多様化
第3章 精緻の極みへ―三つの大王朝時代
第4章 写本以後、クルアーンの今―印刷からデジタル化へ
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