何気なく古書店で購入し、読んでみたのだけれど、今から40年以上前の翻訳(旧版)なのに内容が未だに古くないどころか、初見の解説も多く、学ぶところの大変多い本でした。

読了するまで結構、時間がかかってしまいましたが、内容のある本です。

いわゆる12世紀ルネサンスとは、もう大前提として既に語られてますし、当然、中世文化・中世キリスト教へのイスラム文化の影響などもきっちり踏まえたうえで「中世」という時代を偏見なく、的確に捉えた説明が書かれています。

私が以前から関心を持っていた偽ディオニシウスや光の形而上学、「キリストにならいて」のトマス・ア・ケンピス、シェジェール、鏡の聖ボナヴェントゥラなど、通り一遍の説明ではなく、それぞれが及ぼした影響などを含めた一連の経緯や歴史的位置づけなどが非常に的確且つ、説得力があり、それぞれのトピックが持つ本当の価値を再認識させられました。

個々に内容を知っているものも多々あるのですが、それら膨大な項目をこれだけ簡潔に、歴史の中で有機的に意義付けて説明しているものは初めて読みました。

そこいらにあるような薄っぺらな読み流せるような内容の本ではありません。

俗界の国王と、霊の世界の教皇に世界を二分した考え方自体は、しばしば語られるものの、それを支える本当の思想的背景を知らず、またビザンチンとの比較で皇帝が同じ思想から、俗界と霊界の両方の指導者となり、ヨーロッパと異なっている点にも本書を読んで初めて気付きました!

紙幅の制約で個々の項目に多くの言葉は割けないものの、本書で触れられている内容は、実に含蓄のあるもののが多かったりする。

ある種、総括的なまとめ本のように見えるが、最初に読む本ではない。
ある程度の知識がついてから読むと本書が書かれている視野の広さと本質へ洞察力に頭が下がる思いがします。

修道制や異端についても、個々の内容はそれぞれ詳しい本もあるが、それがいかにして発達し、それが中世という歴史の中でどのような位置付けを得て、他へ影響を与えていったのか、その点についてはふむふむと新たに首肯する点がありました。

中世に関心のある人には是非、一読をお薦めしたい本でした。
面白かったです♪
【目次】
中世の文化
第1章西欧キリスト教世界の社会学的基礎
第2章中世文化における神学の発展
第3章中世文化における科学の発達
第4章中世文化における文学の発展

中世のキリスト教
第1章緒論
第2章東洋と西洋
第3章中世におけるキリスト教発展の諸特徴
 第1節教父時代と西欧キリスト教
 第2節暗黒時代と蛮族の改宗
 第3節中世キリスト教世界と西欧文化の復活
 第4節修道制
第4章教皇職
第5章異端と宗教裁判
第6章典礼と祭式

付Ⅰ浪漫主義の伝統の起源
付Ⅱ農夫ピアズの夢


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「十二世紀ルネサンス」チャールズ・H. ハスキンズ(著)、別宮貞徳(訳)、 朝倉文市 (訳)みすず書房
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「異端者の群れ」渡辺昌美 新人物往来社