2014年03月24日

「ルポ 最底辺」生田 武志 筑摩書房

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この手のものを読むと、どうしょうもないやり切れなさに苛まれる。
人は常に自分の価値観を元にして、知り得た客観的事実を理解するが、それはどうしても
その人なりのバイアスがかかっている、本書に書かれた内容もそれを踏まえて割り引いた
うえでも切ない。

勿論、どうにかしてあげたいと率直に思う一方で、著者が語るような内容を行政に本当に
求めたら、社会は日本は立ち行かないと思う。

そもそも全ての人を幸福にというのは綺麗事であり、あくまでもそうであれば良いなあ~と
いう究極の理想でしかない。

ふとイエーリングの「権利の為の闘争」を思い出したが、自助努力は全てにおいての前提条
件としていることさえ、取り払わねば救えない状況では何が出来るのだろうか?

お役所が割り切らねば、予算はどうやってもまかなわれるのだろうか?
誰だって、福祉をばらまき、人々から感謝され、賞賛されるのは嬉しい。現に未だに独裁政権
や軍事政権が政治をやるとばら撒きと弾圧の人気取りになる。

ついこないだまでの民主党政権がまさに衆愚政治の一端を示していたが、その期間に日本の国
家としての威信と勢力は地に落ちた。

職の奪い合いを否定するが、過去も、現在も、更に将来はより一層激しい職の奪い合いになる
ことが予想されている昨今。人は動物ではないというが、それも幻想だろう。

人はあくなく欲求と闘争により、他の動物以上に繁栄してきたそれを否定するのは偽善者のよ
うに思えてならない。目の前の事実に対して行動している人を非難する気はないし、それに対
してえらそうに意見する気もないが、個々を見て、全体をないがしろにするのは同意できない。

同情すべき事情を抱えた人は、どこにでもたくさんいる。
日本人だけではないし、世界の身近なところにもっと悲惨でも、努力に努力に重ねてしかもそ
こから這い上がった人もいる。

まあ、私が言っている内容自体も陳腐な絵空事かもしれないが、納得いかないことが世界に溢
れている。私自身としては、自分の家族や友人、知人で出来る範囲で協力して少しでもお互い
に良くなるようにするぐらいだ。

友人でも正直、救えないと思った場合、切り捨てたことがある。
自分もその人と共に落ちて、今度は周囲を不幸に巻き込みたくなかったからだ。
本当なら、友人共々救えるぐらいの度量や気持ちがあれば、いいだけなのだが私は弱く、自分
の心が折れそうだった。

友人で人事をやってる奴がいたが、会社に欝だと医師の診断書を出して休職しつつ、平日に屋外
でバンドやっている従業員の証拠を押さえて追い込んだというが、真面目な人が馬鹿をみる世の
中は、現実としてあってもそれは極力減らしていきたいと誰でもが思うだろう。

生活保護の不正受給もそうだ。
ただ、いくら実情に応じて融通を利かせた対応を行政に求めてもそれはそれでおかしい。
確かに公務員の怠慢による問題もある一方で、杓子定規にすることこそが本来、お役所に求めら
れるはずで都合の良い時だけ、それを変えろというのは無理な話だ。

本書を読んで、いろいろと思うところもあったが、自分で最大限やれることをやらねばと思った。
自分と家族と仲の良い友人、小さな範囲ではあるが、出来る範囲で幸せに近づければと思った。
【目次】
はじめに 北海道・九州・東京、その野宿の現場
第1章 不安定就労の極限―80~90年代の釜ヶ崎と野宿者
第2章 野宿者はどのように生活しているのか
第3章 野宿者襲撃と「ホームレスビジネス」
第4章 野宿者の社会的排除と行政の対応
第5章 女性と若者が野宿者になる日―変容する野宿者問題
第6章 野宿者問題の未来へ
ルポ 最底辺―不安定就労と野宿 (ちくま新書)(amazonリンク)

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「日本の下層社会」横山 源之助 岩波書店
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posted by alice-room at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする
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