2007年05月01日

「ロマネスクの園」高坂知英 リブロポート

著者が趣味にあかせて自分の足で訪れたロマネスク建築を紹介している。写真多数で、一見するとかなり期待できそうだったが、内容はかなりお寒い限り。

著者自身は、決して知識がないのではないと思うのだが、とにかく数を紹介しようとしてしまい、個々の建築に対する説明が全然足りない。説明があたかも安っぽい旅行ガイドブック並みか、それ以下の水準で甚だ失望した。

エッセイだろうがなんだろうが、それはどうでもいいのだけれど、作品の解説に徹するか、その場所に至るまでの旅行記にするのか、明確にして欲しかった。ただでさえ、説明が足りていないのに無意味にたくさん紹介されている写真が悲しい。

更にマイナスな点として写真が良くない。著者自身が撮ったものかもしれないが、平板過ぎて見せたいポイントが不明。また写真を並べた紙面としてのレイアウトも最悪に近い。写真に番号が振られてはいるものの、写真と本文がバラバラ過ぎて何の説明をしているか、きちんと追っていけないし、頻繁に頁をめくっても大したこと書かれていないし、実に読み辛い。

珍しい写真もありそうだけど、微妙に小さいし、相対的に役に立たない本。あえて絶版の本にお金を出して買うまででもなかった。大失敗でした。どうせなら、紹介する建築物を3分の1とか4分の1に絞って詳しい解説をすれば、もっと充実した本になったと思うんですけどねぇ~。もったいない話です。
【目次】第1章 聖堂とばんな所にあるか
第2章 聖堂を外からながめる
第3章 聖堂の内側
第4章 回廊と外廊
第5章 柱頭
第6章 その他の彫刻
第7章 シトー派とビザンス
第8章 廃墟と修復
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関連ブログ
「ロマネスクの美術」馬杉 宗夫 八坂書房
「図説 ロマネスクの教会堂」河出書房新社
「ロマネスクのステンドグラス」ルイ グロデッキ、黒江 光彦 岩波書店
posted by alice-room at 13:45| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 建築】 | 更新情報をチェックする
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