
とにかく膨大な量の錬金術関係の図版が魅力です。ただ、TASCHEN社の出版物全般にいえることですが、印刷が綺麗とは言い難い。
図版命の本だけに、印刷の質がイマイチなのはかなりイタイ。この本に出てくる図版の幾つかは、荒俣氏の本で見たことがあるが、それと比較すると図版の見易さ、大きさ、印刷の綺麗さで格段に落ち、物足りない。
その一方で実際、錬金術やオカルト系の図版としては、よく見かけるものもあるが、私は本書で初見というものもたくさんあったので大変勉強になった。まだまだ、この世界にはこんなにも素敵な挿絵があるんだなあ~っと感動!!
でも、解説は良くない。元々、オカルト系は『隠秘学』からして、文字で明解に説明できるものではないのだけれど、本書の記述はやっぱり不十分、且つ意味不明。
本書の場合は、あくまでも図版を眺めて、個々の図版の最低限度の説明を読む程度でしょう。
そもそもまともに一項目づつ読み進めていくタイプの本ではない。個人的には、図版だけもっと整理して数を絞り、より詳しい説明を入れたうえで綺麗な印刷をしてくれたら、即、図版集としてだけでも購入するのにね。残念!
今のままでは、私はあえて欲しいとは思わないかも? 図書館で見れば十分ですね。やっぱり、印刷が綺麗じゃないとねぇ~。
【目次】錬金術と神秘主義―ヘルメス学の博物館(amazonリンク)
はじめに
マクロコスモス
大いなる作業
ミクロコスモス
回転
索引
関連ブログ
「錬金術」吉田光邦 中央公論社
「錬金術」セルジュ・ユタン 白水社
「錬金術」沢井繁男 講談社
「サファイアの書」ジルベール シヌエ 日本放送出版協会
魔女と錬金術師の街、プラハ
「THE GOLD 2004年3月号」JCB会員誌~プラハ迷宮都市伝説~
「大聖堂の秘密」フルカネリ 国書刊行会
「The legend of the Golem」Ivana Pecháčková
「バロック科学の驚異」 荒俣宏 リブロボート(図版3枚有り)
本書と同じ図版が出ています。キルヒャーの奴ね。
この本に出ていたキルヒャーの図版は、荒俣宏氏の「バロック科学の驚異」でも出ていました。こちらは特に図版がお薦めです。こちらも絶版になってしまっているから、なかなか入手は難しいのが難点。面白そうな本は、すぐ絶版になってしまいますねぇ~。困ったもんです。