活版印刷から始まって、現在の電算写植や電子出版までを扱いながら、今、まさに失われつつある印刷技術について、筑摩書房の編集人たる著者が実際に体験を通して紹介している。イラストは、ちょっと前に本を読んだ内沢旬子氏。ご自身でも本の装丁などをされているそうだ。
そうですねぇ、私が工場を見に行ったのは、宛名書きをハガキに印字するにあたっての顧客情報の管理状況やセキュリティのチェックだったので、それほど印刷そのものの機械は注意してみてなかったんですが、改めて本書を読むと、大変興味深いです。
技術は進んでも、やっぱり職人さんの技がモノをいう世界だったんだなあって思います。ただ、昨今の場合は、DTPが加速度的に進む中、依然とは確実に異なってきていることがひしひしと感じられます。
職人を育てる時間もなかれば、なかなかその技術を直接的に生かせるような現場でもないようです。良くも悪くもコンピュータ化が進みましたからねぇ~。
いろんな印刷手法があり、それぞれの長所と短所が分かるのって今後も何かの役に立ちそう。そういえば、文字校(校正)、色校(校正)と段階を踏んでようやく色見(見本)で始めて、どんな感じに仕上がるのか分かるんですが、そこで責任者に駄目出しされて印刷屋さんが洒落にならなくなっていたのを思い出しました。
この本を読むと、その辺りの事が改めて分かりました。でも・・・、今はいきなり色見相当のものが出てきてたもんね。丁度、私もまさに現在の印刷技術の発展を経験したいたんですね。ふむふむ。
面白いのは確かに面白い本です。でも、やっぱり実物を見てないのでイラストと解説だけでは、実際の作業が分かりにくいというのが率直な感想。私以上に、知らない人だったら、もっと作業を想像するの難しいかもしれません。
本書を楽しめる読者層ってかなり狭いかもしれませんね。私もかろうじて、楽しめるかなあ~?ってレベルでした。
【目次】印刷に恋して(amazonリンク)
活版はまだまだ元気だった。
あこがれの活版職人になる。
手動写植機でツメ打ちに挑戦する。
最古の写真製版術が生きていた。
オフセットを徹底的に勉強する。(製版編、印刷編)
装幀に使われる特殊印刷に肉薄する。
グラビア印刷の規模の大きさに驚く。
オフセット印刷は進化している。
組版文化はどのように継承されたのか。
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