「ルポ 賃金差別」筑摩書房 竹信 三恵子

同一労働、同一賃金ってのは確かに分かるし、私自身もそうすべきだし、社会ととしてそうあるべきだと思う。また、転勤や残業、休日出勤等で明らかに労働条件としてマイナス部分を引き受けているならば、それはそれとして、別な手当てや区別があるのはそれも当然だと思う。

問題なのは、その辺について個々の項目を列挙し、それに応じて適切な評価をし、金銭や待遇その他で報いる明示的な評価体系がないのが問題なのではとも常々思わずにはいられない。

明らかに仕事の能力としては、正社員であっても仕事が出来ない人も多々存在するし、そういった人々よりも仕事のできる派遣社員も確かにいるのだから。

その一方で、正社員であれ、派遣社員であれ、給与水準にそぐわないパフォーマンスの人が多々いるのも事実だ。ただ、だからといって、実績評価だけでも組織は運営できないもの事実。

だからこそ、どこの会社でも悩んでいるとは思うだけれどね。

権利として主張すべきは主張すべきというのも正論だけど、主張すべきに値するだけの仕事を確実に出来ている人は実はそれほど多くないのも事実だと思う。

本来、もっと声高に主張すべき人が沈黙し、自分の都合の良い部分のみ権利主張する人が多いのも紛れのない事実だと思う。だから、徐々に世の中はおかしくなってしまうんですけどね。

本書に触れられていないが、過去に有名な日産自動車の裁判とかもあるけれど、関係者の話ではあれもねぇ~。結構、まともに相手できるような状況でなかったようだし・・・労働裁判には、どうしても本来の権利以外の要因があって、なかなか一概に正論で済まないのが悲しい・・・・。

本書の著者も朝日新聞社の記者でしょ。
偏見と分かっていながらも・・・・あの朝日ですから!
日本の新聞が公明正大、不偏不党なんて、間違っても有りえないし、更に朝日なら、言わずもがな。

NHKスペシャルの「ワーキングプア」ではないが、問題の根は深いが本書は視野が国内限定で典型的な朝日的視点で主張はするが、独りよがりな問題提起と非現実的な提案のみで、世界経済の枠組みの中で、日本という国家が置かれた状況を踏まえた提言にはなり得ていないし、そのつもりもないらしい。

まあ、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、当事者は更に追い込まれ、関係者はその対応で必要以上に警戒し、双方にとって、より一層悪化した状態での職場環境を提示する未来しかないのが救いようがない。

それがまさに朝日的であり、日本のジャーナリズム的でもあると思うですが・・・・。

まあ、私もその片棒を担ぐ仕事を日々、行い、それで給料を頂いているんですけれどね。
業務を定型化し、それを業務委託に任せるとか、その為の業務フローやら支援ツールを
準備したり、正社員の仕事を日々、派遣スタッフさんや業務委託先の方に委ねることで
コストを削減し、会社の利益を増やし、そのおこぼれとして給与所得を得る。

それ以外に今の正社員の仕事がないのだから、なんだかね?
不可思議な世の中です。
同じ国内でも都内から地方へ。日本から海外へ。

仕事は高きから低きへ流れていく中で、本書の主張はそれ自体間違っていないが、到底
経済合理性を持つものではなく、あくまでも敗者の遠吠え以上の意味を持たないような
気がしてならない。それを分かったうえで、自らの売名行為に利用しているような気が
してしまうのは私がひねくれているからなのだろう。

批評よりは、自らの目指すところを実現すべく起業でもなんでもして頂き、社会正義の
実現でも期待したいところではあるが、のんびりと大学で高みの見物をしている人に言
われて言われたくないなあ~というのが本書を読んだ実感だったりする。
【目次】
第1章 賃金差別がつれてきた世界
第2章 かけ替えられた看板
第3章 「能力」と「成果」の罠
第4章 労働と「ボランティア」の狭間で
第5章 「派遣」という名の排除
第6章 最悪の賃下げ装置
ルポ 賃金差別 (ちくま新書)(amazonリンク)

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