2007年05月15日

「闇の超世界権力 スカル&ボーンズ」クリス・ミレガン、アントニー・サットン 徳間書店

bones.jpg

一時期、大いに話題になったエール大学内にあるという秘密結社スカル&ボーンズに関する本です。あのブッシュ大統領を始め、大統領経験者の多数がそこに所属していたとされ、フリーメーソン内の上位秘密組織に通じるとか、ダン・ブラウンの小説「天使と悪魔」で有名になった謎の組織イルナミティと構成員が重なるとか、大変興味深いことが書かれています。

もしも、それが本当だったら・・・っていうお話ですけどね。良識というか、単純な常識があれば、ネット上に氾濫するアングラ系の陰謀史観大好き論者がしばしばのたまう内容と大差ないことに気付きます。私の感触でいえば、どっかからどう見ても仮面ライダーの秘密結社ショッカーの見過ぎって感じですね(←すみません、例えが古過ぎですね。マルドゥーク機関(エヴァより)でも古いし、最近ならなんだろう?)。まあ、その程度のもんです・・・笑。

少数の選ばれし者達による大多数の愚かなる大衆支配の元で、新世界秩序を作り上げるとかなんとかって、あまりにも陳腐でステレオタイプな類型に苦笑(つ~か失笑)を禁じえない。

確かに、CIAが多国籍企業を通じて、中南米でアメリカにとって好ましくない政権転覆に加担したり、手引きしてたとかって事実は、国連でも取り上げられてるし、周知の事実ではあるが、そこから一気に「新世界秩序の構築」って言われてもなあ~。

おそらくまともな人は、本書の内容を信じないと思います。

そんだったら、つい最近の自衛官経由で中国政府の手引きによる中国人妻のイージス艦機密情報のスパイはどうなるんでしょうね? 日本の海外大使館員が秘密を中国に握られて国家機密を漏洩するように脅されたあげくに、機密を漏らすよりはと自殺した事件があったけど、あれはどうなんでしょう??

別に中国だけの話ではないし、日本だって戦争中に満州国の財政の大部分を阿片密売で補っていたのだって、知ってる人なら知っている話。そんなの世界には無数にある話だけれど・・・?

現在、イラクへ指導者として戻りつつある人々は、元々イランに亡命していてイランで全ての生活の面倒を見てもらっていた、まさに親イラン派。アメリカがこないだまで目の敵にしていた、イランべったりの人々がイラクへ新しいリーダーとして戻っている現実だって、いくらでも陰謀論に絡ませることできるけどね。ホント、キリがない。

本書は、いかにも大衆が好きそうなネタ系の話を膨らませて、関連が無さそうな所にも牽強付会を地で行きながら、強引に関連づけて楽しい読み物にしています。従来からよくある、この手の安っぽい陰謀(妄想)暴露本のパターンをこれでもかと踏襲しているので、そういう意味ではイエローペーパーの王道路線ですね。日本語版の表紙見ても、まさにイエローで髑髏が書かれているし(笑)。中高校生向きかな。出版社さん、徳間書店さんだもん。田中芳樹氏の小説のノリですよ~(蒼龍伝とかね)。

ご存知のように、アメリカではCIAやケネディ、フリーメイソンなどのキーワードが大好きです。おまけにナチまで出てくれば、言うことなし! 今回はイルナミティにも詳しく紙面を割いていますのでお好きな方は、眉唾として読んでみるのも一興かと。

ただ、真面目に読んでるとちょっと問題かと。ダ・ヴィンチ・コードを読んでイエスが結婚して子供がいたと信じる人達と一緒になってしまいます。ご注意を!

でも、この手のノリ自体は嫌いじゃないけどね。あくまでも『読み物』として読みましょう♪
【目次】
第0章 “国際謀略”解明のためのイントロダクション
第1章 スカル&ボーンズを暴露する
第2章 ボーンズメンが連なるブッシュ一族
第3章 “九・一一テロ”の“今日”から“明日”に向かって!
第4章 “秘密”結社の最終目的「世界新秩序」への暗躍
第5章 スカル&ボーンズをめぐる種々のエピソード
第6章 骸骨の集団
闇の超世界権力 スカル&ボーンズ(amazonリンク)

関連ブログ
「テンプル騎士団とフリーメーソン」三交社 感想1
「秘密結社」セルジュ・ユタン 白水社
「フリーメーソンの秘密」赤間 剛 三一書房
「世界を支配する秘密結社 謎と真相」 新人物往来社
「法王暗殺」より、抜き書き
「法王の銀行家」殺害で4人起訴 CNN
ラベル:陰謀史観 書評
posted by alice-room at 21:02| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック