2007年05月16日

「シグルイ」1~8巻 山口貴由 秋田書店

シグルイ

時は江戸。舞台は剣術師範の道場にて。
それぞれの思いから、剣の道を極めんとする者達の死闘を描いた時代劇。師と弟子が、同門の兄弟子と弟弟子が骨肉相憐れむかのように凄惨・壮絶・無残な闘いを繰り広げる。

一見、野蛮で粗雑と誤解されかねないながらも、そこには単純さと洗練さがあり、一つの日本的『美学』がある。まさか、天下泰平の今の日本でこれほどの漫画が見れるとはゆめゆめ思いもしませんでした。

芳年や絵金の無残絵・残酷絵などにもひけをとらない、それと同等に肩を並べられるだけの『力』を感じる画力に圧倒させられます。目が離せません。妖しき筆力の冴えに他なりません!

これまでは時代劇で「子連れ狼」を超える作品を見た覚えがありませんでしたが、本作品はそれを軽く超えたと思います。

血と薔薇

これに匹敵するのは、三島由紀夫のセバスティアンの殉教しかないであろう。そう私には思われてなりません。三島と澁澤が携わった雑誌『血と薔薇』の世界がこの作品に重なって見えてなりません。

しかし、この作品は絶対的な少数派にしか支持されないと思っていたのですが、好きな人が結構いるんですね。コアなファンでしょうか? フィギアやTシャツまでamazonで売ってました。しかも今年の7月から、WOWOWで放映するとか。う~ん、時代が読めない私でした。

なにはともあれ、これはスゴイ作品です。でも、グロイし、この死をものともしない哲学は、嫌いな方も多いと思いますのでほとんどの方にはお薦めしません。止めた方がいいと思います。

一方、芳年や絵金とかをこよなく愛し、画集を持っているような方は絶対に読みましょう。まさに貴方の為の作品です。現在は8巻まで出ているようです。
タイトルの「シグルイ」は「死狂ひ」であり、書物「葉隠れ」にある「武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの」という文章に由来する。
シグルイ(1)(amazonリンク)
血と薔薇―全3号復原(amazonリンク)

関連サイト
wikiでのシグルイ解説
WOWOW シグルイ特報
ラベル:コミック 時代劇
posted by alice-room at 00:39| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【漫画 アニメ】 | 更新情報をチェックする
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