
こちらは藤木氏らしい、いつもの作品だったと思います。
素直に面白いし、謎解きやそれが更に
既に「奇跡」の調査から、普通では合理的に説明のつかない不思議な現象の調査・解明へと微妙に対象範囲を広げてのお話にはなりますが、さすがに「奇跡」に限定するとネタ切れでしょうしね。
そうでなくてもここしばらくは無理な形のものが多かったので、シリーズ物の大変さを考えれば、謎解き形式を維持していく為にもその辺は拘らず、著者の資料調査の成果や発想の素晴らしさを生かしたストーリー展開を楽しませて頂ければ、もちろん、言う事無しです。
その意味で、本書は合理的な説明で謎が解明していく一方、最後で一気に「奇跡」につなげていく辺りは一瞬、あっけにとられるものの、うまくシリーズのものの流れをつなぎ、更に今後へと引っ張っていく形に仕上がっています。
また、2人をバチカンからフォローする役の怪しげな人物も、徐々に秘密が明かされていくのは実にうまく描かれています。前作からの伏線もしっかりと回収されていますしね。
本書を読んでいて私はインドの天才数学者ラマヌジャンをすぐに思い浮かべました。
それを念頭に置くと、まあ、いろいろと腑に落ちたりします。
また、ジャイナ教というと・・・インドの新興財閥リライアンス・グループとか連想しちゃいますが・・・。
まあ、本書とは直接関係ありませんでしたが・・・。ちょっと前に読んだインドの新興財閥の本に載ってたのをうろ覚えしてた私です(笑)。
今回は懐かしい顔ぶれも出てきますし、シリーズを通して読まれているファンには楽しめた作品だったと思います。私も面白かったです♪
欲を言えば、もう少し最後の部分にもしっかりと紙幅を割いて頂いて、詳細にそこまでの話を書いてもらえたら、より一層面白そうだったんですけれど・・・ちょっと駆け足過ぎて、展開についていくのが辛かったかな?ってね。
さて、次の作品を読み始めますか!
バチカン奇跡調査官月を呑む氷狼 (角川ホラー文庫)(amazonリンク)
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