2015年07月28日

「バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達」藤木 稟 角川書店

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シリーズでは初めてとなる日本が今回は奇跡の舞台。
日本の奇跡でキリスト教関連というと秋田の聖母とか、青森だっけ?BBCでも紹介されて話題になったイエスの墓とかを思い浮かべましたが、天草四郎の島原の乱の方でした。

「奇跡」かどうかは知りませんが、伴天連の妖術を使うなどホントか嘘か怪しい噂満載でネタには困らなそう・・・(ニヤリ)。

今回は本調子の藤木氏らしい作品のノリで、謎解きや異界の描写が冴えています!
そういやあ~かつて読んだ外国の記事で、昨今の若者はネットからのコピペレポートばかりでどうしょうもないというものがあり、その一例に外国で島原の乱の説明問題がありました。

試験でそれを問うと、ある学生がイエズス会宣教師が唆して企てた反乱と書いたそうで、どうしてそんな突飛な内容を書いたのかと学生に尋ねるとwikipediaからコピペした、そうです。

いやあ~そうとう昔に読んだ時はアメリカの無知蒙昧の情弱大学生と大爆笑しましたが、今や日本も全く同じ状況ですもんね。ネットに書かれていることを確認もせず、鵜呑みにするレベルの低さも笑いましたが、イエズス会主導の陰謀論もそれ以上の笑いのネタでしたが、あながち今からすると無かった訳では無さそうで怖いです♪

そういやあ~上智なんて、SOFIA ですもんね!
もっとも個人的には最近、皇族が入学して話題になったあの、ICUの方が凄かったりするかな?
国連職員とかの就職先も多いですが、何よりもカソリックの本家本元直系の学校ですもんね!

暗記力ではなく、知能指数を図るような聡明な素質のある人材を教育するってのがなんとも・・・怪しい???(笑) 海軍大学校とか英才教育ってのは大切ですもんね!!

イエズス会が教育に力を入れていて、当然、その過程で各種写本や書籍をたくさん保有し、名だたる大図書館を築いているのは、あちこちで有名な図書館巡りをしている私的には思い入れもありますが、宣撫工作というか宣教手法についての説明はなかなか面白かったです。

日本国内と海外の金銀交換比価が著しく異なり、三角貿易だっけ?
あれで荒稼ぎしていたり、あと当時は精錬技術が低く、銅に大量の銀が含まれていて日本から銅が大量に輸出されていたとか大昔、予備校とかで習った覚えがありますねぇ~懐かしい話だ。

隠れキリシタンというと東博で見た隠れキリシタンの踏み絵とかマリア観音、魔境とかですかね?
いろいろと興味深かったことを思い出します。活版印刷の天草版でしたっけ?
同じタイミングで東博かあるいは、凸版の印刷博物館、その両方で見たかもしれません。
なかなか印刷技術はしっかりしていたと思います。

馴染みのあるものや知識がたくさん出てくるし、それらがうまくストーリーに繋がっているので読んでいてワクワクして楽しいです♪

平行世界の存在やら、無限罪とか出てくると、諸星大二郎氏の「ぱらいそ」が頭に浮かんで離れないのは、この年頃の漫画読みには常識でしょう♪ ぱらいそ、いくだ~ってね(笑顔)。

分からん人は知らない人か、まあ、若い人かってね?

あとネタバレになるので書きませんが、古事記、日本書紀に出てくるアレが・・・ね!
もう、おなじみのアレっす。

日本人ですから、古事記、日本書紀必読は常識ですし、大人なら、聖書ぐらいは一読してないとヨーロッパで何か絵や文化財、世界遺産見ても内容の1割も理解できないでしょうし、基本でしょう。

もっともコーランを満足に読んでいない(コーランの翻訳はあくまでも注釈書扱いで読んだことにはならなかったと思いましたが)私は、無教養極まりなくて赤面ものかもしれませんけどね・・・。
注釈書というか翻訳書さえも読んでいないので駄目駄目なんだよねぇ~。いかんです。ホント。

本書は相変わらず、膨大な量の知識を背景に楽しい謎解きを提供してくれます。
もっとも読者は自分が謎解きをするのではなくて(そこがいわゆる推理小説とは異なり、今風の楽してるエンターテイメントなんですが)、自分の代わりに説明をしてくれる探偵役に更に、説明を聞いても分かったような気がする一方で、本当の意味で納得(理路整然とした合理的な得心)までは残念ながら、(ほとんどの読者の場合は特に説明しても理解出来るだけの素養を持たないが故に)いかないんだろうなあ~とは思います。

私自身も分かったような気になるものの、書かれている内容が正しいのか、正しいとしてもそれが合理的な推論の帰結として誰もが納得出来るだけの客観性を持っているのかさえ、恥ずかしながらわかりませんもん!

でも、それらは分からなくても十分に楽しめるのが本書の良い所であり、売れているところでもあるんだと思います。読者を選り好みしたり、絞っていたは商売的に立ちいかないですもん。
本は売れてなんぼのところもありますしね。まして、ラノベっすから!

それらを差っ引いても楽しい小説となってます♪

バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達 (角川ホラー文庫)(amazonリンク)


posted by alice-room at 09:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする
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