2015年08月18日

「異形の将軍」上・下 津本 陽 幻冬舎

稀代の政治家 田中角栄について書かれた伝記(?)というか読み物。
角栄氏への関心の高い私としては、この手の本、何冊も読んでいますが出来は中の下ぐらいかなあ~?

いわゆる一次資料(=直接、取材や現地現物調査等による資料)ではなく、他の人が田中角栄氏について書かれた資料をベースに取材した二次資料を元にして描かれており、田中角栄を生々しく描き出すというのには程遠い。

ただ、各種引用を通じて、多面的に角栄という人間像を描写しようとしており、そういった点では主観に偏り過ぎないのは本書の長所かもしれない。また引用に際しても元の資料を明示しており、その辺は好感が持てる。

理研と共に成長した話や政治家になるまでの話、企業家から政治家へ転身、若手有力政治家として成り上がっていく姿など、読んでいると十分に面白いのだけれど、残念ながら、本書を読む事で初めて知るような内容はほとんど無かった。

それこそ、早坂氏の作品に出てくるような生々しい人間 田中角栄の姿は本書では出てこない。
何重かのオブラートに包まれた感じがしてしまうのは、私だけだろうか?

著者が下手に脚色を加えようとしていない点は評価すべきだが、素材が二次資料である以上、本書から得られる新たな気付きや知見などはまず無い。いささか奥歯に物が挟まったような歯痒さを感じてならない。

田中角栄関連の本を読んだことのない人には新鮮かもしれないが、既に関心を持って関連本を読んでいる方にはお薦めしない。一読して、すぐに手放して良い類の本である。

ただ、本書を読んで久しぶりに田中角栄氏のことを思い出した。
毀誉褒貶は当然だが、物事を決めていくあるべき政治家としての姿を体現した存在だったと今も強く思う。

30代で起業した会社を上場させ、会社を売った金を使って40代で政治家に・・・という私のかつての夢破れてしまいましたが・・・(苦笑)。もう少し遣り甲斐のある仕事を出来るように自分から努力しなければいけないんだよなあ~と改めて自戒しました。

待ってても何も来ないしね。当たり前ですが、努力と共に自分で働きかけることの大切さを思い出しました。

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posted by alice-room at 03:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする
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