2015年11月15日

「トマ・ピケティの新・資本論」トマ・ピケティ 日経BP社

ピケティ氏の「21世紀の資本」の関連本として読んだ本です。
本書は日刊紙に掲載されていたピケティ氏の時評をまとめた本で短いコラムみたいのが数多く載っています。

読んでみると分かりますが・・・改めて左派経済学者なんだなあ~って分かります。
良い意味でも悪い意味でも。
そりゃ、勲章を辞退するだろうなあ~。

「21世紀の資本」とは異なり、ピケティ氏の主観(といっても勿論、彼のとる立場から論理的な一貫性のある発言ですが)バリバリに一定の価値観に基づき、政治や制度を批評していくのでその主張に同意するしないは別にして、なかなかに面白いし、小気味良い内容です。

勿論、論理的で合理的であってもそれが実際の形として制定され、機能するかは別物であることは全然別ですけどね。立派なことを主張していた野党が政権握ると急に現実的な制約下で日和ってくるのは古今東西普遍の現象です(笑)。

そういったことを抜きにして本書を読む限りではフランス特有の税制や社会状況(労働時間や大学等々)などまで含めて、初めて知るようなことも多くて実に興味深いです。実現可能性を抜きにして読む分には、しごく妥当な主張も多いのですが、どこの国でも実際に議会を通す頃には骨抜きになってんだろうなあ~という感想もぬぐえません。

ピケティ氏の大好きな累進課税等富裕層への資本課税などもまあ、分かるんですが実際に税金かけられたらやだよねぇ~。誰でもが自分だけ税金を安くしたい!逃れたいと思うのはもう絶対的真実!!

ましてその為にたくさんの費用を費やしてもペイする金持ちなら、資本逃避するでしょうよ。
今の日本でも株式売却益20%税金かかるもんね! 今月取られたばっかり!!

例えば100万円の資本で30%のキャピタルゲインで30万円儲けても6万円も税金ですよ。
こないだまでは10%でまだ我慢できたけど。
1億円なら3000万円儲けても600万円税金とか納得いかないっす!!
NISA枠なんて瞬時に消えたしなあ~。

勿論、30%損して場合にそれを所得控除してくれるとかなら話は分かるけれど、リスクは自己負担
で儲けだけ課税だもんねぇ~。

もっとも庶民の私だったら、そもそも一定金額以上の売却益(例えば1千万円)まで非課税とかなら、自分的にはOKだったりするわけだから、つくづく人間は自分勝手です。

話がそれましたが、本書を「21世紀の資本」と並行して読むと著者のスタンスが分かるので、より「21世紀の資本」がいわんとするところとそれに対する価値評価基準と相まって、より深く内容が理解できるような気がします。それこそ、私の独りよがりかもしれませんが・・・・。

ただ、何よりも読みやすいし、面白いです。
【目次】
第1部(2005~2006年)
ミルトン・フリードマンに捧ぐ
第2部(2007~2009年)
公的資金注入合戦
第3部(2010~2011年)
リリアンヌ・ベタンクールは税金を納めているのか?
第4部(2012~2014年)
経済成長はヨーロッパを救うか

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ラベル:経済
posted by alice-room at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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