
友人に○○ハムに勤めている人がいて、工場での状況や職場の人達の話を愚痴交じりに聞くことがありましたが、本書を読んで改めてう~んと考えさせられました。
公務員とかでも採用で同和関係者の枠があるとか、諸々の優遇策があるのは聞いたことがありましたが、税金でこんなことあるなんて、正直ちょっと信じられません!
まあ、どこぞの宗教法人みたいに触れてはいけない部分があるんでしょうね。
しかし、使えるものは何でも利用して自らの利益獲得に邁進する、その姿は企業経営者そのものでもあるんでしょうね。グレーゾーンを超えて、塀の中に落ちてしまったら駄目ですが、大企業でもベンチャーでも程度の差こそあれ、やってるもんなあ~。
税金の優遇もそうですが、あのBSE(狂牛病)対策で輸入牛肉の買い上げで検査もせずに、ドンドン言われるがままに買い取って補償金を払い続けた政府関係者。どこまでが事実かわかりませんが、本当なら酷い話です。
鈴木宗男のあの小悪党も筋金入りのクズですね。
利益誘導と支持者の為だけに便宜を図る姿勢は、政治家らしいっと言えばらしいですが、腐り切ってますなあ~。いっそ、清々しいぐらいの悪さです。
以前いた山口敏夫とかあの手の小物の姿を思い出しました。
ヤクザや政治家を使い、あるいは食肉団体の組織力をも使いながら、自らの企業の為に(利益の為に)合法・非合法を問わず、あらゆる手段をとって実行していく、その決断力・先見性・実行力は非凡です。
しかも決して表に出ようとはせず、常に目立たないようにして保身を図りつつ、実を取る姿勢は老練な戦略家でもあるのでしょう。
本書を読むまでは全然、このハンナンという企業グループを全く知りませんでしたが、大変勉強になりました。良い悪いは別にして、やり手の経営者であることは間違いないでしょうね。
どこぞの現場を見ないで、机上の空論を語って、先を読む力のある一流経営者気取りの愚か者よりは、はるかにマシかもしれません。勿論、法に触れたら、論外ではあるのですけれど・・・・ね。
久しぶりに面白い本でした。
ただ・・・著者の客観的に徹する・・・と言いながら、独自取材等の裏付けは一切なく、共産党とかの機関紙からの引用や議会での質疑等、単なる二次資料だけであたかも真実かのごとく書いているのはどうなんでしょうね?
圧力かけられたりするのは怖いからそれを避ける為とはっきり書かれているので、それはそれでありかもしれませんが、適当に拾い集めた文章やネタを元に、都合の良いことを書かれている可能性もないわけではなく、本書自体の信用性は全くないような気がします。
すべてが嘘とはいいませんが、資料から構成したと言いつつ、その資料文献データが満足のいく形で記載されておらず、いかにも日本のジャーナリストが書いた適当な憶測記事の要素もたぶんに含まれています。
本書の内容をそのまま信用することはできませんが、それらを差っ引いてもまあ、面白いです。
金や力を握ったら、人がやることは同じだなあ~と思いました。
【目次】はじめに―「帝王」浅田満の素顔食肉の帝王 (講談社+α文庫)(amazonリンク)
伝説の奉公人
同和と暴力を両輪に
影の億万長者
北海道に進出
「永田町」と「霞が関」を手玉に取る
鈴木宗男の後見人に
知事もひれ伏した大阪府
地元市長は舎弟
狂牛病騒動で荒稼ぎ
証拠を闇に葬る完全犯罪
浅田流「商売哲学」
「サイドビジネス」が炙り出す底力
史上最強のタニマチ
ファミリーの肖像
虚像が剥がされた帝国
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