2015年12月14日

「中世劇の世界」石井 美樹子 中央公論社

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エミール・マールの本の中に中世劇に触れた記述があり、その延長線上で本書を読んでみました。
う~ん、あえて読む価値のある本でもありません。

民衆に受容された中世の宗教劇について、本書は語っているのですが・・・視野が狭い気がします。
エミール・マールのような大きな視点の中で、歴史的にどのような背景があり、また社会や制度、宗教的な価値観があり、それが民衆に受容されていく過程で、どのような形式を採った・・・とかいうようなものはほとんどありません。

では、その代わりに演劇自体について深く掘り下げた内容のものかというと、なんか薄っぺらな感じです。
フランスやドイツではなくてイギリスであることの意義も分かりませんし、たまたま自分の目についた物的な感じさえしてしまいます。

もう少し、知見に溢れた文章だったら良かったんですけれどね。
内容自体もあまり面白くないし、考察らしきものも価値のあるものと思えません。

後の免罪符販売でどんな罪も免罪符さえ持てば、許されてしまう・・・そんな売り文句に匹敵するような俗っぽい内容で民衆がカタルシスを得て、進んで受け入れるような中世劇の内容自体も目新しさは感じません。

イエスの地獄征服だけは、初めて知った内容でほお~っと思いましたが・・・後はね。

時間の無駄ですね、読むだけ。
どんな読者層を想定しているのか不明ですし、著者自身の自己満足用の本です。時々、見かけるような本です。お勧めしません。
【目次】
プロローグ 中世的世界の復活
第一部 中世劇はどう演じられたか
中世唯一最大のマス・メディア
中世の聖体祭と演劇
中世イギリスのサイクル・プレイ

第二部 降誕劇
キリスト降臨節の意味
泥棒マックとシーツの儀式
マリアの夫、寝取られ亭主のヨセフ
幼子イエスの降誕
羊飼いたち、その饗宴、音楽、贈り物

第三部 受難劇
死と滅びのグロテスク・リアリズム
ヘロデ王、「死」、悪魔
ゲツセマネからゴルゴタへ
イエスの地獄征服と復活

エピローグ 現在のイギリス中世劇上演を観て


中世劇の世界―よみがえるイギリス民衆文化 (中公新書 (728))(amazonリンク)


posted by alice-room at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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