古書店であまり見ないような本があったので購入したもの。ダ・ヴィンチ・コードで名前だけが一人歩きして誤解されてしまった「オプス・デイ」の設立者に関して書かれた本です。設立者本人の文章と他の者の目を通して描かれた文章です。
今までオプス・デイがカトリック教会の中で占める位置がいまひとつよく分からなかったのですが、本書を読むと「オプス・デイ=神の御業」というのが何を指し、何を意図しているのか、また既存の修道会等とはどのように異なっている為に、あえて新設されたのかが分かります。
私の理解できた範囲で説明してみると、一切の俗世間から乖離して山奥の人里離れた修道院に籠もって生きていく修道士的な生活と種々の虚実の駆け引きに身を費やす俗事の生活が、神の作った世界で二重世界のように平行して存在しているのではない。たとえ俗事にまみれた生活であっても、自らの職業に誠心誠意、正しく励むことでその職務の中に聖性を見出しうるということのようです。
わざわざ修道士にならなくても、日々の仕事に精励することで人は誰でもキリスト教信者としてふさわしい生活を送ることができる、という点で現代という時代における宗教的生活の新しい在り様の提示になるみたいでその意味で既存のカトリックと異なり、新設された組織が必要であったようです。
非キリスト教徒でカトリック自体を正しく理解しているとはいえない私ですが、本書の中で示される世間的問題に対する個人の自由の尊重や既存の教区に縛られない国際的な組織というのは、大変興味深かったです。
伝統的なカトリックやプロテスタントに関する本を読んだ後で、本書を読んでみると更に面白さが増すかもしれません。勿論、本書は内輪から書かれた本であり、それに対して外部からはどう思われているかも併せて捉えていくと、どんなに騙されやすい人でもさすがにダ・ヴィンチ・コードは、フィクションだなあ~と納得できます。
いろんな意味で示唆に富んだ本でした。勿論、あくまでも一つの宗教への多面的アプローチの一つでしかありませんけどね。
ちなみに・・・amazonで探しても登録が無かったです。値段がついているから市販された本だと思うのですが、いわゆる取り次ぎルートに乗らないで販売された本なのかなあ~?
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オプス・デイの機関誌もムハンマド風刺漫画掲載
2007年05月30日
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