2016年04月24日

「バカが多いのには理由がある」橘 玲 集英社

経済関係で有名な橘氏の番外編的な感じの作品。
週刊プレイボーイに連載されていたコラムをまとめたものだそうです。

そのさいか、いささか扇情的な表現や必要以上に、神経を逆なでしかねない単語が並びますが、その辺はメディアに合わせたのかなあ~とも思えます。

ただ、従来の橘氏の文章を読んでいる身としては、この本について違和感を覚えるのは否めません。
まあ、いつもどっかしら醒めていて、世間から距離を置いている立ち位置の著者からすると、あくまでも断面の見え方の問題なのかもしれませんが・・・それこそ、一部の方を炎上させるには向いているような本かも?(笑)

政治の部分。
う~ん、まあ、マスコミやら一部の先導者に煽られたみんなの意見とやらが民意を代表すると信じるポピュリズムなんかが幅を利かし、誰も自分の目や耳を信じないし、自分の頭で考えようともしないのは変わらないからなあ~。

誰もが自分の都合のいいことしか言わないし、事実を歪曲して自分の受け入られる全くの別物に加工してからじゃないと受け入れようとしないからなあ~。

私も相当のひぬくれものであることは自認しているが、本書はかなり毒が強いです。
フェアトレードなんかも、個人的には絶対に信用していないので常々胡散臭く思っていましたが、本書でもその辺のからくりについて諸々書かれています。

表面的な取り繕いだけを見て、物事を気分やノリで判断し、周囲を煽り、結果として本来、意図していたこととは真逆の結果をもたらし、物事を台無しにする。

別にどんな国でもどんな組織でも起こっているし、やっているんだよねぇ~。
うちの会社なんかにも教科書的な(というか小学生レベルの)正しさを教条的に部下に説き、それを丸投げしてやらせることで部署に混乱をもたらし、限界あるリソースの無駄使いで不要に疲弊し、結果的に相当な効率低下をもたらしながら、会社の方針として業務の効率性を上げる愚か者がいるが・・・はあ~。

そりゃ、人辞めていくだろう。
頑張っている人ほど、能力のある人ほどね。

そんなことを頭に浮かべながら、本書を読んでおりました。

そうそう、ルワンダの虐殺辺りの記述は辛辣さを増しますね。
虐殺を行って、殺した人たちの家財道具一式を奪って、他国へ逃げてきた人たちを可哀想な難民として、メディアが取り上げ、その避難場所が空港近いという利便性から、ジャーナリズムも進んで採り上げ、NPOとかも支援を行う。

実態なんて関係なく、取材しやすい、絵になるがポイント。
NPOなら、手っ取り早く物資を配れて、実績作りになるのがポイント。

支援者から同情とともに、たくさんの資金を集める為の悲劇の演出。
ネタかと思われるような話がたくさん書かれています。まあ、私もその背景に関する事情は正直明るくないので、二次伝聞を鵜呑みにしているだけでなんとも言えませんが、おそらく事実なんでしょうね。

たくさんの死体の山ではもう煽情的な見出しにならなくなったメディア連中の求める、インパクトのある『絵』。そこから虐殺ではなく、四肢損壊で這う人々の苦しい表情でより煽るなんて外道か鬼畜の所業ですね。

もっとも何年か前のタイにも手足のないたくさんの物貰いがいましたね。
あれが同情をひくんだとか・・・。

朝早くに誰かが歩道に連れていき、夜にまた誰かがどこかへと連れていく。
あれもそれもビジネス。

本当にうんざりします。
そういやあ~今の国連事務総長も偏見と利己主義の塊で最低ランクに見えますが・・・国際政治の舞台なんて大国のエゴの張り合いですもんね。

そのおこぼれに与ろうと第三国が集まり、既得権益として国連で好き勝手なことやってるわけで、そりゃ大国は距離を置き、都合の良い時だけ国連の名を持ち出す。

もっとも前国連事務総長のアナンさんでしたっけ?
息子をイラクの石油関連の組織のトップにつけて、兆円単位で横流しやら横領やらをやりまくってBBCとかにも大きく報道されてましたねぇ~。

日本だとあまり記事になりませんが・・・。
タレントのゴシップやら政治家発言の揚げ足取りで、庶民に媚びうるマスコミには、そりゃ興味ないでしょうけれど・・・。

衆愚政治こそが民主主義の帰結なのか・・・・先が見えませんね。

とにかく、現在の環境から早く逃れたいと切望する私なのでした。

本書ですが、興味深い点もあるけど、この本はこの本で細かいことはしょって洗浄過ぎ。
読んでいて、不快感も結構あります。

なんかいろいろと辛いことを心に思い浮かべた本でした・
お勧めしません。
【目次】
私たちはみんなバカである
1 POLITICS政治(ニッポンの右傾化
嫌韓と反中
「日本を取り戻す」政策
ニッポンはどこにいくのか?)
2 ECONOMY経済(ブラックな国
イエという呪縛
自虐的な経済政策
経済は面白い)
3 SOCIETY社会(ニッポンの暗部
腐った楽園)
4PSYCHOLOGY心理(こころの内側)
地獄への道は善意によって敷き詰められている


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posted by alice-room at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする
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